N
マネー研究所
マネーのみかた

2017/12/21

マネーのみかた

丸井の店内では金額がビットコイン表示されているわけではなく、支払時に「全部で○○○円なので、○○○btcになります」と、最後の最後で一瞬ビットコインが出てくるだけです。普通の買い物と何ら変わらず、レシートにもビットコインの額の表示はありません。しかも支払い操作は「QRコードを読み込むだけ」なので、慣れてしまえば簡単でスマートです。若い人は最近、現金での支払いを「誰が触ったかも分からない現金は不潔で、古臭い」と嫌うそうですが、そういう意味では若者向けかもしれません。

ただ、問題は「どのレジでも即座にビットコイン支払いができるわけではない」こと。丸井の場合は試験導入なのでやむを得ない面もあるのですが、ビットフライヤー用のタブレットは今のところ館内に5台だけです。ビットコイン支払いで先行したビックカメラでも、あるフロアでは3台あるレジのうち、ビットフライヤーの画面が出せるスマホが置いてあるのは1台だけ、といった状況でした。今のところ「実際に店頭で払おうとするのはテレビ局や新聞など、国内メディアの取材が圧倒的に多い」(丸井)という現実もあり、多くの人が想像している「外国人の観光客がお店でどんどんビットコイン支払いをしている」というのは、どうも違うようです。

また、現場で使ってみて感じたのは、円とビットコインの換算レートは時々刻々変わっているので支払うタイミングによる損得があること。少し前のように1日のうちに2割も価格が変動するようなときだと、「しまった、午後になってから買ったので高くついた」といったこともあるでしょう。

丸井でいろいろ買い物をして0.00718btcを消費。7679円だが、やはり分かりにくい

さらに、今だと0.001btcが2000円くらいといったように、ビットコインでは小数点以下の数字が頻繁に出てきます。直感的に何円なのか分かりにくいだけではなく、円では考えられないケタの間違いも起こりそうです。一方いいこともあって、ビックカメラではビットコイン支払いでもポイントが付きます。現金と同様、ポイントカードも一緒に出した方が得だというのも分かりました。

このように、一度口座を開いてビットコインを持ってしまえば、支払いそのものは難しくありません。しかし、ではビットコインが使える実店舗が今どれだけあるのかといえば、せいぜい1000とか2000くらいではないかという気がします。東京の都心で働いていても、レジで「ビットコインOK」のサインを見ることはまれだからです。その中でビックカメラはビットコインの支払い上限を最近30万円まで引き上げており、とにかく同店に行けば家電から(店舗によっては)食品まで買えるのは、「出口戦略」としては安心材料です。

◇  ◇  ◇

しかし、今回の取材を通して一番強く感じたことは何かといえば、ビットコインの値動きの大きさは恐ろしいほどだ、ということでした。11月7日に口座を開いて約10万円分のビットコインを買い、新宿で使ってみようと思っているうちに、11月13日には暴落して私の資産は8万67円に減っていたのです。6日間で20%も価値が減る資産を持ったのは初めてで、この時は肝が冷えました。総額が小さいのでまだ耐えられましたが、仮に1000万円分投資していたら6日で800万円に減っていたわけで、こうなると平常心ではいられないでしょう。

買って数日後にどんどん下がり、この後に資産は8万67円まで減った

正直、こんなに値動きするものだと知らなかったので驚いたのですが、もっといけないのがその後数日であっさりと買値まで戻し、さらに値上がりして11月28日には13万672円に増えていたことです。その間に丸井で買い物をして7700円ほど使っていますから、3週間で約39%も価値が増えたことになります。こういう悪魔のような値動きは人の判断を誤らせますね。

各国の中央銀行の金融緩和策によって世界中にお金があふれ(過剰流動性)、それが仮想通貨に流れ込んで、何の裏付けもないのに短期間にこれだけ値上がりする。中には前述のように、少額で始めたのに2、3年で資産が億に達する人も現れる。それを見ていれば、ビットコインは永遠に上がり続けるものだ、買わねば損だと誤解する人も出てくるでしょう。しかし言うまでもなく、値上がりし続ける資産などあるはずもないので、どこかで急落があると考えるのが普通です。

ビットコインの先物市場ができ、機関投資家の資金が入ってきて市場が厚みを増すことに加え、売りから入れる(カラ売りできる)ようになることでその急落が起こるとみる識者もいました。マーケットもそう受け止め、一時確かにビットコイン価格は下がりましたが、その後は乱高下しながらもまだ上昇傾向を見せています。かのヘッジファンドも、これだけ先高観の強い資産に強烈な売りを浴びせる勇気は持てなかったのでしょう。

私個人としては現状での使い勝手はだいたい分かったので、急落を食らう前に手放してしまいたいのですが、まだ「仮想通貨が分裂する際には新通貨をもらえることがある」というのだけ未体験なのです。11月25日には分裂でビットコインダイヤモンドが登場しましたが、その後もライトニングビットコイン、ビットコインゴッド、ビットコインウラニウム、ビットコインシルバーなど様々な新通貨の噂が出ています。なので一度くらいは「ビットコインなになに」という新通貨を受け取ってみたいのですが、それまでこのバブルが崩壊せずに持つのかどうか。楽しみでもあり、怖くもあるという不思議な気分を日々味わっています。

(マネー研究所編集長 大口克人)

近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし