ビットコイン使ってみた 値動き荒く編集長も目を白黒第7回 仮想通貨の使い勝手

ビットコインで支払うため、丸井の土産物売り場で「お札クッキー」などを購入
ビットコインで支払うため、丸井の土産物売り場で「お札クッキー」などを購入

先日、私(編集長の大口)はある証券会社の懇親会に出てちょっと不思議な体験をしました。「バブルだ」「いや、そうとも言えない」「まだ上がるはず」「カラ売りで下がるだろう」。これ、何を熱く議論しているかというと日米株価のことではなく、仮想通貨のビットコイン(btc)の話なのです。会場に集まった大手メディアの記者の中には「来年の株価水準をどう見るか」といった本来の話をする人も多くいましたが、むしろ「100万円でビットコイン投資を始めて1億円になった投資家がいる」といった危なげな話の方で場が沸いているのが印象的でした。ビットコインの時価総額がトヨタを超え、検索エンジンでビットコインと入れると、同時に検索されているワードの上位に「チューリップバブル」が出てくる昨今ですから無理もないかもしれません。

CryptoCompareというサイトで見ると、足元で一番多くビットコインに替えられている通貨は日本円だと分かる(12月16日)

ただ、そんな感じで騒いでいる人たちに聞いても、実際にビットコインを買って支払いに使ってみた人はほとんどいないのです。それどころか金融界の大御所が集まる別の会議でこの話をしてみたら、「なにキミ、ビットコインで物が買えるのかね?」なんていう士業の専門家もいたりして、支払い手段としての認知はまだまだだなあと思った次第です。とはいえビットコインは仮想「通貨」。日本では2017年4月施行の改正資金決済法(通称・仮想通貨法)でハッキリ、仮想通貨は円やドルなどの法定通貨に準じる支払い手段だと認められているのです。そこで今回、皆さんに使用感を伝えるために私もビットコインを買い、街に出て使ってみました。

1本目の動画ではその前段階として、そもそも仮想通貨とはどういうものか、何ができるのか、長所と短所、裏側の仕組みなどを解説しました。仮想通貨の弱点の一つは、複雑で分かりにくいことです。通貨としての話と、裏側にあるブロックチェーンの仕組みなどデジタル技術の話が同時に出てくるからで、ハードフォークと呼ばれる分裂騒動なども正しく理解するためには技術的な知識が不可欠です。そんなに勉強しなくても店頭での支払いはできるのですが、手数料の問題など「仕組みをある程度把握しておかないと損をする」こともあるので厄介です。

また、最近のビットコインの急騰ぶりや、ちょっと意外かもしれませんが世界で一番ビットコインを買っているのは実は日本人であること、なども解説しています。急騰といえばこれまでは数円、数十円など安い手数料で送金や決済ができるのが魅力だったのに、手数料はビットコイン建てであるため、ビットコイン価格が急騰すると円では数百円などかなりの額になってしまいます。店で使うなら、手数料がかからない場所を選ぶのもコツのようです。

2本目の動画は国内最大手の取引所、ビットフライヤーに取材し、口座開設から実際に店で支払うときどうするか、手数料の仕組み、マイニング(採掘)とは何か、また仮想通貨の今後など、少し進んだ話を聞いています。

まず口座開設ですが、私の場合はパソコンを使って10分程度でできました。ビットフライヤーには口座開設料や年会費などはなく、住所氏名など個人情報を入力して本人確認書類を送り(運転免許証をスマートフォン(スマホ)で撮影した写真でOK)、取引目的の確認などをすれば終わりです。その後、自分が使っているネット銀行からビットフライヤーへ日本円を「クイック入金」すれば、その日のうちにでもビットコインを買えます。

ビットフライヤーの「取引所」の画面。板情報など、ネット証券の株取引の画面に似ている

ちょっと分かりにくかったのは、買うときに「販売所」と「取引所」の2つがあること。販売所は同社との直接取引になるため、価格は割高ですが量が多くても確実に買えます。取引所は投資家がそれぞれ売り買いの注文を出してビットコインをやり取りする場所で、株の板情報のような画面で数字がチラチラ動いています。

価格は取引所の方がだいぶ安かったので、直近の約定価格を見ながらそれより少し下の値段を指し値で提示しました。口座には10万円入れましたが、円の価格で指定して買えるわけではありません。買うビットコインの量を指定する「+1」「+0.1」「+0.01」の3つのボタンを何度か押し、今の価格で計10万円に近づくように調整するのです。この時の価格は1btc=83万円前後だったので、0.12btc買えて日本円が450円くらい残りました。

動画にあるように、この約10万円分のビットコインはスマホアプリの「bitFlyer ウォレット」に入れて外へ持ち出せます。店で支払うときは、店員さんがタブレットかスマホで示すQRコードを、bitFlyer ウォレットを起動してカメラで読み取るだけ。ネット通販の支払いや人に送金する際も、やはりQRコードが示されるので自分がそれを読み取って支払うという流れになります(送金はメールでも可能)。どの場合もわずか数秒で自分のビットコインの残高が減り、決済できたことが分かります。

ただ、問題は手数料です。支払う側、受け取る側の双方がビットフライヤー同士なら「同じ銀行の支店間でお金を動かすようなもの」なので、手数料は発生しません。しかし、例えばコインチェック・Zaif・ビットバンクなど他の取引所で買ったビットコインをビットフライヤーのシステムを入れているお店で使おうとすると、ネットワーク手数料という送金手数料が発生します。先ほどの例でいえばA銀行からB銀行に送金するような形になるからです。この「取引所をまたぐとネットワーク手数料がかかる」「昨今の価格高騰でその額が割高になっている」というのが、支払いで使うときの悩みの種になります。

さて、やり方は分かりましたが実際の使い勝手はどうでしょうか。次ページの3番目の動画ではビットコイン決済を試験導入している新宿マルイアネックスを訪ね、「お札クッキー」「お箸」などいろいろな物を買って支払い体験してみました。

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