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ブルゾンちえみ 今年は「素に近い自分を出したい」

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NIKKEI STYLE

2018年は「もっと素に近い自分を出していきたい」と抱負を語るブルゾンちえみ。17年のお笑い界を代表する顔といえば、彼女をおいて他にいないだろう。8月放送の『24時間テレビ』ではチャリティーマラソンのランナーを務め、ゴールシーンで瞬間最高視聴率となる40.5%をマーク。「35億」が流行語大賞にノミネートされるなど、国民的タレントとなった彼女が今、思うことを語る。

快進撃の始まりは、17年元旦放送の『ぐるナイ!おもしろ荘』でキャリアウーマンにふんしたネタを披露し、優勝したこと。「地球上に男は何人いると思ってるの?……35億」と、強気な女性を描くそのネタは、笑いと同時に共感を集め、バラエティーのみならず、ドラマにCMに引っ張りだこになった。

「17年はまったく予想がつかないことだらけでした。現実味がない夢のようなことばかりで、実感が湧かなかったというのが正直なところです。もともとキャリアウーマンのネタも半信半疑でやっていて。面白いかどうかは分からないけど、音が止まった瞬間に何かを言うのが自分の中で気持ちいいなと。ネタの内容も、地球上の男の数を言ってるだけですから(笑)。それをそんなに面白がってもらえるなんて思っていなかったし、『35億』という数字が独り歩きした感じです。『24時間テレビ』のときも、沿道で応援してくれる人たちから『35億!』って声をかけられたりしました(笑)。

高校時代の話ですが、私は猛烈に勉強したり、陸上部で走ってばかりいたんです。友達は遊んでいたけど、大学生になったら遊ぼう、今は受験勉強に集中しようって。高校時代の友達があまりいないのが寂しくて、後ろめたさみたいなものがあったのですが、あのときとことん頑張っていなかったら、『24時間テレビ』で完走できただろうかと。コンプレックスに思っていたことも、マラソンランナーをやったことで、あれだけ真面目にやっていたから良かったんだなと思えるようになりました」

17年の間、ブルゾンが息切れすることなく常に注目の的であった背景には、バラエティーにとどまらない活動の幅の広さがある。4月期のドラマ『人は見た目が100パーセント』ではメインキャストの1人に抜てきされ、女優デビューながらも演技力を発揮し、その期待に応えた。一方、NTTドコモのCMでは綾野剛の妹、コシノジュンコの娘というポジションで話題を提供。さらには自身のネタで使用している楽曲『ダーティ・ワーク』のオースティン・マホーンとコラボし、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)にも出演を果たした。

「遠回り」も全部無駄じゃなかった

「ドラマの話をいただいたときは笑いました。しかも『桐谷美玲、水川あさみ、ブルゾンちえみ』って書いてあって、『何この並び?』っていう。『おかしいだろ!』って誰かにツッコんでもらいたかった(笑)。とにかくドラマなんて初めてのことだったので、何でも言ってください、教えてくださいという気持ちで取り組みました。

ただ、撮影が3月からで、これから芸人として頑張っていかなきゃいけない時期だったので、葛藤もあったんです。ドラマに100%力を入れていたら、お笑いのほうに戻れなくなるんじゃないかって。4月ぐらいまではずっとその不安がありました。でも第1話が放送されて、2話、3話と重ねると反響も分かってきて。ネタを見てファンになってくれた人が、ドラマでも楽しんでくれていることを知って、やっぱりやって良かったなって思いました。

CMは昔からの漠然とした夢で。テレビ番組と違って、選んで見るのではなく、自然と流れてくるものじゃないですか。今の自分ってみなさんにこういう感じで見られているのかって。不思議な感覚ですし、感動します。それにしても、ずっと憧れて、尊敬してきたコシノジュンコさんとお仕事ができるなんて、ホントに思ってもみなかった。すごく気さくな方で、楽しいことが大好きな人だと分かって、これまで以上にカッコいいと思うようになりました。

『Mステ』も、自分が出られるなんて信じられなかった。昔から見ていた『Mステ』が、自分の人生に関わってくるなんて。『成功してよかった!』って心から思えた瞬間なので、あの映像は今でも繰り返し見ています。ずっと夢の中の世界なんです(笑)」

17年を振り返り、「こういう者ですと、名刺を配った年」と評する。また、彼女の歩んできた道が報われた年でもあったそうだ。

「私は芸人になる前に、歌とダンスの学校に行ったり、劇団に入っていたことがあって、どこかで『遠回りした』と思っていたんです。でも、全部無駄じゃなかったなと。

『ブルゾンちえみ=キャリアウーマン』という感じでやってきましたが、実際はあまり上から目線で何かを言うタイプじゃなくて。18年はもっと素に近い自分を出していきたいです。リポーターとして『PON!』(日本テレビ系)のレギュラーが始まったときに、インタビューでキャリアウーマン風にキャラを決めたほうがいいのか、悩んだんですよ。でも結局、素に近い感じで聞いたほうが、相手も心を開いてくれると分かったんです。今は大勢いる中でコメントを一言、というポジションが多いのですが、今後、ゆっくり話せるトーク番組などの機会に恵まれたらうれしいです。最初の頃は、何か面白いことを言わなきゃとか、焦りの気持ちがあったけど、もうそういう時期は過ぎました。

ファンの方のメッセージをSNSで見ると、素直な私を好きでいてくれているので、自分らしさを忘れず、変わらずに進んでいけたらいいですね」

(ライター 遠藤敏文)

[日経エンタテインメント! 2018年1月号の記事を再構成]

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