デフレ脱却、浮かれてはいけない(澤上篤人)さわかみ投信会長

日経マネー

画像はイメージ=PIXTA
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澤上篤人氏(撮影:大沼正彦)

澤上篤人(以下、澤上) 日経平均株価が26年ぶりの高値を付けたとか、デフレ脱却や景気回復が見えてきたとかで、株式市場では強気を唱える人で沸き上がっている。我々長期投資家からすれば、何を今更の一言だが、大半の投資家は出遅れ感からの焦り丸出しで買い急いでいる。

そういった世の中の狂騒ぶりを横目に、今後どんな展開が株価、そして日本経済に予想されるのか、草刈と話し合ってみよう。

株高の先には大混乱

澤上 最近の株高や景気回復で、政府や日銀はしてやったりの満足感に浸っていることだろう。だが、ちょっと先を見てみると、日本経済が恐ろしいほどの大混乱に陥るのは間違いない。

草刈貴弘(以下、草刈) 株価上昇はチャート上では目に見えていますが、景気回復の方はそう言える状況なのでしょうかね。正直そう思える人は少ないのではないでしょうか。各地のセミナーで個人投資家の方々の意見を伺うと、景気回復の実感は伴わないのに株価だけが上がっていくのが少し不安、ということを言われます。

澤上 何しろ、未曽有の金融緩和によるマネーのばらまきで、無理やりに物価上昇と景気浮場を狙ってきたのだ。本来ならとうの昔に、とんでもないインフレと長期金利の急上昇に襲われていたはず。ところが、物価上昇は遅々として進まず、それをいいことに政府や日銀はこれでもかこれでもかと金融緩和と財政のばらまきに拍車をかけてきた。

草刈 最近指摘されることが減りましたが、日銀のETF(上場投資信託)買いはいまだに続いています。多くの企業で日銀が筆頭株主になるなんて、あり得ないことです。その上、出口戦略、流動性の減少、ガバナンスなど様々な問題は棚上げされています。その裏で財政規律はいつのまにかうやむやになっています。

澤上 気が付いたら、国の借金は1080兆円を超え、日銀は国債発行残高の40%強を保有するに至り、実質的な財政ファイナンスをずっと続けている。それどころか、マイナス金利の導入で、国はいくらでもゼロコスト同然の国債を発行できる。ばらまき予算の拡大は続くばかりだ。

先進国で最悪の財政状況だから、日本円はボロボロに売られていてもおかしくない。ところが、日本は世界最大の債権国で、経常収支も黒字であるから、そうそう円安にはならない。それが故に、日本国債に対し海外からの売り圧力もかからない。

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