ポイントで「投資」してみよう 失敗しても怖くない株・投信購入の原資に 証券口座不要の会社も

日経ヴェリタス

 一方、投資のために現金へ交換できるポイントの方の幅を広げようという動きもある。トラノテック(東京・港)は10月、クラウドソーシングサービスなどを手がけるリアルワールド(3691)が運営するポイントを現金へ交換し、投信を購入できる仕組みを始めたばかりだが、早くも「交換可能ポイントの拡大を計画している」という。

 実現すれば、全く異なる会社が発行した複数ポイントを、トラノテックを通じて現金へと変えてまとめ、投信購入資金に充てられる。トラノテックはクレジットカード利用額などのおつり相当額を自動で投資へ回す「トラノコ」を運営してきた。今後おつりだけでなく、様々なポイントの活用を促して、サービス利用者の拡大を図る方針だ。

ANA、日航 現状は「運用でマイル付与」

 ためたポイントを金融商品で運用できる事例が増える一方で、資産運用をするだけで継続的にポイントがもらえるというサービスも拡大してきた。先行するのは、ポイントの中でも特に熱心にためる利用者が多い、2大航空会社のマイルだ。

 全日本空輸(ANA)は9月、2つのフィンテックベンチャーと組み、資産運用を続けるほど多くのマイルが付与されるという新しい活動を始めた。対象はトラノテックと、ロボアド運用のウェルスナビ(東京・渋谷)。両社とも運用開始でまずマイルが付与され、その後も一定条件をクリアして運用を続ければ継続的にマイルがもらえる。

 11月には日本航空(JAL、9201)のマイルも、ロボアド「THEO(テオ)」のお金のデザイン利用者向けに付与され始めた。やはり運用開始の時だけでなく、運用中は継続的にマイルがつく。預かり資産1万円に対して月0.5マイル(同3000万円以上は月0.25マイル)のルールだ。付与マイルに上限を設けない点が特徴だ。

参入なら裾野広がる可能性

 資産運用サービスは数十年間にわたって利用する例も珍しくない。長期間コツコツと資産を積み増す個人は航空や旅行などの事業にとっても将来、優良顧客となる可能性が高い。

 ANAのマイル関連事業を手がける「ANA X」(東京・港)事業推進部の平林正義マネジャーは「こうした顧客と接点を持ち続けることがまずメリット」と指摘する。その上で「今後は『運用でマイル付与』だけでなく、『マイルを運用』といったサービスも考えている」と話す。利用者が多いマイルで運用サービスが実現すれば、関心を持つ個人は一気に増えそうだ。

お釣り投資などで初心者も参加しやすく

 ここへきてポイント運用が急拡大している背景は何か。ポイント制度に詳しいポイ探(東京・中央)の菊地崇仁代表は「少額投資を可能にするフィンテックの発展が影響している」と説明する。金融取引にポイントを活用するという案は以前からあったが、数円からせいぜい数千円程度でためるポイントと、1回数十万円が必要なこともある金融取引とでは、「それぞれの単位がかみ合わなかった」という。最近になって「お釣り投資」や「ロボアド」など少額から投資できるサービスが次々登場し、ポイントを活用できる下地が整ってきたわけだ。

 個人は手持ちの現金を使わず資産運用を始められることがポイント運用の最大のメリット。例えば、運用原資がまだ少ない若年層もポイントなら一定額を長期投資へ捻出できる可能性が高い。菊地氏は「ある程度ポイントがたまったら消費せず運用へ回すとルールを決めて実行すれば、現金の積み立て投資と同様の効果が期待できる」とみる。

原資不足や想定以上の損失に注意

 ただ、投資の入り口が手軽なポイントでも、運用そのものが簡単になるわけではない。ポイント運用サービスが多様化し、各社が提供する金融商品のリスクの高低も差が広がった。例えば、ジャックスとインヴァストのサービスはレバレッジが可能なので、初心者が思う以上に損失が拡大する場面があり得る。一方、ストックポイントやセゾンなどは運用原資がポイントのみという点がネックだ。ポイントは個人が現金で買うなど任意に増やすことはできないので、「押し目買い」を狙う局面でも、原資不足で投資機会を逸するかもしれない。

 菊地氏は「一口にポイント運用といっても、投資方法や投資対象などの差は大きい。せっかく選択肢が増えているので、自分の投資目的などを一度整理し、最適なものを選ぶ作業に手間をかけたい」と助言している。

(マネー報道部 堀大介)

[日経ヴェリタス2017年12月17日付]

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