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小沢コージのちょっといいクルマ

カー・オブ・ザ・イヤーに高級外車 日本車選外の理由 ボルボ受賞に見る「日本流ものづくり」の危機

2017/12/21

第38回日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したボルボ「XC60」

 年末恒例、その年を象徴するクルマに与えられる日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)に、北欧スウェーデンのボルボ「XC60」が選ばれた。同賞が始まって37年、輸入車の受賞は4年前のフォルクスワーゲン「ゴルフ」以来2度目だが、事情は異なる。ゴルフは250万円から始まる大衆車なのだ。

 かたやXC60はほぼ600万円スタートの高級SUVであり販売台数も少ない。日本COTYはインパクトがあり、なおかつ誰もが買いやすいクルマが選ばれるのが通例だったが、今回その常識が覆された。なぜ輸入車、それも輸入車販売トップ常連のドイツ勢ではなく、ボルボが選ばれたのか。COTYの配点法も理由だが、長期間のデフレ不況が日本のものづくりに与えた影響も背景にありそうだ。COTY選考委員でもある本連載の小沢コージ氏が振り返る。

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■ゲームチェンジの年かもしれない

600万円を超えるボルボの「XC60」が選ばれたことで「今後COTYのあり方が変わるかもしれない」と小沢氏は語る

 日本COTYの選考委員を20年近くやっている小沢だが、今回こそはビックリした。時折「今年は本命なき戦いだ」とか「乱戦」などと言われるがそんなレベルじゃない。大波乱であり、まさしくゲームチェンジである。今後COTYのあり方が変わるかもしれない。

 確かに波乱の前触れはあった。有力候補の新世代電気自動車たる2代目日産「リーフ」や人気SUVのスバル「XV」が例の最終検査問題から辞退。目玉は減ったが、それでもトヨタ・ハイブリッド20周年の節目モデルであるトヨタ「カムリ」や、コンパクトカーとしてかつてない軽量化とマイルドハイブリッド技術で走りと環境性能を両立したスズキ「スイフト」、飛躍的モデルチェンジでますますベストセラー軽自動車として君臨する2代目ホンダ「N-BOX」など、今年を象徴する意欲的な国産車はまだまだあった。

 ことたくさん売れるという点では、N-BOXがすごすぎる。なにしろ直近11月は2万台も売れたのだ。普通乗用車含めてダントツである。

候補にはトヨタ「カムリ」やスズキ「スイフト」、ホンダ「N-BOX」も挙がっていた

 もちろん売れるクルマを単純に選べばいいのならCOTYなどいらない。COTYはあくまでもその年を象徴するクルマを専門家が選ぶイベントであり、大事なのはインパクト。記者の投票で決まるメジャーリーグのMVPと同じ類であり、首位打者やホームランキングのように数字で決まるわけではない。

■日本は輸入車が1割を超えないレアな国

 だがこれまで事実上、日本COTYには販売台数や価格に対する無意識的な縛りがあったように思う。現実問題として、クルマはいいが価格が高くて多くの人が買えないクルマ、つまり高級車が選ばれることはまずなかったのだ。これは具体名を出せば簡単にイメージできるだろう。例えばフェラーリ「488GTB」やポルシェ「911カレラ」のような高額スポーツカーが専門家にどれだけインパクトを与えたとしても、それがその国を象徴するクルマになり得るだろうか。やはりポピュラリティーのない、ぜいたく品のカテゴリーに入るだろう。

 例外はかつて選ばれた国産高級車のトヨタ「セルシオ」(第10回)やホンダ「レジェント」(第25回)ぐらいのもので、両者には値段以上のインパクトがあったし、一般的にも分かりやすい授賞理由があった。なにしろ日本が作った世界に通用する日本の高級車なのだ。これを日本が選ばないでどうすると。

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