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キャリア

ウーマン・オブ・ザ・イヤー2018 諦めず、信念貫く

2017/12/19 日本経済新聞 朝刊

コミュニティナースカンパニー社長の矢田明子さん

前例のない製品や業態の確立には、思うように進まない時間をどう乗り越えるかが課題となる。女性誌、日経ウーマン(日経BP社)が選ぶ「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2018」を受賞した2人は柔軟な発想で新たな価値を打ち立てた。困難なプロジェクトをやり抜く力はどこから来るのか。

◇   ◇   ◇

■末延則子さん(シワ改善効果の医薬部外品開発) 失敗は可能性検証の成果

「化粧品は人生に影響を与える」と話すのは日本初の抗シワ医薬部外品「リンクルショット メディカル セラム」を開発したポーラ化成工業(横浜市)の末延則子さん(52)。発売9カ月で80万個を売り上げる大ヒットで、ウーマン・オブ・ザ・イヤー2018の大賞となった。「朝、肌の調子がいいと優しくなれる。シワ改善は優しさの価値づくり」と話す。

開発を始めたのは02年。結果を出すまでに2回の停滞期間があった。1度目はシワ改善の新成分「ニールワン」を見つけてから、化粧品に使えるような安定配合を実現するまでの期間。2度目はカネボウ化粧品(東京・中央)の白斑問題以降、難しくなった医薬部外品の認定の取得だ。

素材開発では、メンバーから「本当にできるのか?」という疑問が湧くほど失敗を繰り返した。それでも「失敗はその可能性を検証した成果」と考えて前向きに進んできた。「考えようと思うのではなく、好きだから考えていると解決策が浮かぶ」と発破をかけながら研究に没頭。結果、研究チームの1人がチョコミントアイスを見て、成分を点在させる配合法を思いついた。

やっと安定する形を見つけたが、今度は医薬部外品の申請でつまずいた。医薬部外品というカテゴリーそのものがなくなる心配まであった。それでも、「必要なのは安全性」とはっきりと目標を定め、これでもかと安全性検査を繰り返した。皮膚科の医師ら外部から「まだやるのか」と言われるほど何度も何度も検査し、厚生労働省に持ち込んだ。

開発開始から15年の歳月を要して、医薬部外品の認定にこぎ着けた。開発期間は失敗の連続だったが、「研究が好き。失敗の対策を考えるのが楽しかった」と苦労の中でも周囲と楽しんで仕事に向き合った。

「ポーラ化成工業の末延則子執行役員(手前)はシワ改善効果を持つ医薬部外品化粧品を開発=4日、横浜市戸塚区

心に残るのは「この研究はギャンブルでなく、投資だと説明できるリーダーにならないと」という上司の言葉だ。チームにも外にも説得力のある言葉で説明できるようにしてきた。

もう一つ、開発を始めた時から常に書き直しながら準備してきた緻密なロードマップがある。直近の3年くらいはできるだけ具体的に書き、常に「ほらちょっとずつだけど確かに進んでいるから」と自分にも周囲にも示してきた。

現在は執行役員として研究計画の全体を見ているが、時間を見つけては実験室に顔を出す。若手の研究者とも「研究室には上下はないから」とフランクに話す。「人を明るくする製品を作って、今後は地球の裏側まで届けたい」と次の計画を見据えている。

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