「大切なことは、全社員が小さな芽も大きなビジネスになりうる、という意識を持って取り組んでくれることに尽きます。これこそ、経営人材に必要な『構想力』です。過去もそうやってきたのだから、恐れずこれからも進んでほしい。そういう人材を育てていきたい」

商社の枠組みを超えていく

「商社という集団の勝者になる、ということは私のイメージにまったくない」と話す垣内氏

――2017年度は、総合商社で首位を奪還しました。

「これも誤解を招くんですが、商社という集団の勝者になる、ということは私のイメージにまったくないんです。ですから、首位を奪還ということはあまり意識したことがない」

「当社が今後どんな会社になっていくか、非常にわくわくしているんです。しかし、それは商社という器のなかを想定していない。私は、『どこかの段階で商社という枠組みから脱退したい』といっているくらいです。良いも悪いもなく、他の商社も、マイウエーでいいと思うんです。これは偽りのない気持ちですね」

――では、どんな会社を目指しますか。

「今の発想の原点は大きく2つです。一つは、人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながる『IoT』のもたらす影響です。この動きは、今まで縦につながっていた連携を横や斜めに動かすエネルギーです。三菱商事もこれまでは縦の会社だったが、ポートフォリオを横通しにすることで変化する可能性がきわめて高い」

「もう一つは、『業界再編』です。日本だけでなく世界中で、再編を経て様々な業界の秩序が変わってきています。当然、再編を軸に当社の役割も立ち位置も変わってくる。また、その立ち位置の変化で社会にとってポジティブな作用が生まれるかどうか、という視点も大切です」

ゴールがあるから走れる

―ー垣内社長は、オフタイムをどう過ごしていますか。学生時代は、弓道部の主将も務められていましたが。

「健康維持のために、散歩をしていますね。大学時代は弓道に没頭していましたが、会社に入ると仕事にのめり込んでしまった」

「経営は本当にいろいろ(な課題が)出てきます。生身の会社に携わればすぐにわかる。非常に気をつかう仕事です。当社の場合、トップの任期はおおむね6年ですが、期限が決まっているのはいいやり方だと思いますね。マラソンも、ゴールがあるから走れるんだと思いますよ」

垣内威彦
1979年、京大経卒、同年三菱商事入社。2010年執行役員、13年常務執行役員。16年から現職。兵庫県出身

(松本千恵)

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