しかし、中に入ってみると実態は思った以上に悪かった。累積損失は3億円以上あり、前執行部が入場者数を水増ししていたことも明らかになった。V・ファーレンの株券は紙くず同然の価値しかなかったが、それぞれの株主が出資したときの金額でジャパネットが買い取り、100パーセント子会社にした。これまでクラブを支えてきた関係者に報いるとともに、引き続き協力をあおぐ必要があったからだ。

コミュニケーションの力と前向きな姿勢がクラブを変えた

本業の通販で忙しい旭人社長に代わり、明氏が再建を託された。「私のミッション(使命)は再生すること。赤字に陥ってどうしようもない収益構造を正して、正常なサッカーチームに戻すことが一番の目標」と明氏は語っていた。

士気を高めたコミュニケーション力

経済的な支援と通販番組で培ったコミュニケーション力でクラブのスタッフや選手の士気を盛り上げた。マーケティングの手法を駆使し、試合前に家電のチャリティーオークションを行うなど、スタジアムの外でにぎわいを取り戻すことに尽力。また、佐世保市のジャパネットの本社にも、V・ファーレンの試合をテレビ観戦しながら応援するスペースを設け、全面的な支援姿勢を明確にした。

J1昇格が見えてきた9月には、選手をゲストハウスに招いてバーベキュー会を開き、選手とカラオケで熱唱した。そんな明氏の前向きな姿勢に選手たちも感化されていった。

「監督、選手以下、試合に関わる人が余計なことに悩まされなくなり、気持ちが我々(ジャパネット)と一体になってきたところで、選手の力が発揮できているのではないでしょうか」。クラブが上昇気流に乗り、4位につけていた9月ごろ、明氏はこう語り、選手の奮闘に手応えを感じていた。

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気持ちが変われば、勝てる
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