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坂本真綾さんのすごさ 再演を重ねて発見(井上芳雄)

第12回

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NIKKEI STYLE

井上芳雄です。11月から出演していたミュージカル作品『ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~』が12月17日の名古屋で公演を終えます。東京・シアタークリエでの4度目の上演の後、福岡、兵庫、愛知を回り、その間に2012年の初演以来の通算公演回数は100回を超えました。本当に多くの方から愛されている作品だと、あらためて思います。坂本真綾さんとの2人芝居なのですが、ずっと一緒に演じてきて、回を重ねるほど真綾さんのすごさを感じています。真綾さんから得るものや発見がたくさんあります。

真綾さんとは、舞台上のパートナーとして、いろんなことを分かちあえる同志のような関係になってきました。地方の公演に行くと、会場の大きさや造りがそれぞれ違います。すると役者は、会場に合わせて「今日は芝居を大きくしてみよう」とか「ゆっくりセリフを言ってみよう」と考えます。ただ、それは誰かと共有するようなことではなく、個々の俳優がそれぞれにやっていることです。

僕も普段は他の人とそういう話はしないのですが、『ダディ~』では真綾さんと自然に分かちあえるようになりました。1幕は真綾さんの場面から始まります。見ていると、「いつもより丁寧に言葉を言っているな」とか「ちょっと大きめに動いているな」と分かるので、僕もそれに合わせた演技をします。それで1幕が終わったら、「今日のお客さんの感じはこうだから、2幕からはいつもの速さに戻しましょう」とか「このくらいの演技の大きさにしようね」と言いながら、芝居を微調整していきます。それが「今日は雨が降ってるね」くらいの感じの普通のやりとりなので、とてもやりやすいのです。

真綾さんの才能でもあると思うのは、表現者として非常に優れているのにもかかわらず、毎回すごく反省をすることです。それも小刻みで、幕間で楽屋に戻る間にも「あそこがちょっとうまくいかなかった。ごめんなさい」と言ってきて、僕がいつも「いやいや、誰にも分からないですよ」と答えるという感じです。

僕は真綾さんと逆で、「今日はうまくいかなかった」と思っても言わないタイプです。舞台は消えて無くなるのがいいところだと思っているので、失敗を人に話したり、共有しようとはあまり思わないほうです。

一方、真綾さんは演技にしても歌にしても、しょっちゅう反省していて、それを僕にも伝えてくれます。もっとよくするにはどうすればいいか、を常に考えているのだと思います。それだけ『ダディ~』という作品と自分が演じているジルーシャという役が大好きで、大切にしていて、恥ずかしくない舞台をしたいという真摯な思いが強いのでしょう。

強さと、人間としての揺れや不安

真綾さんと一緒に過ごす時間が長くなるにつれ、真綾さんのすてきなところを知る機会も増えました。あるとき、こんなことがありました。音響さんに自分の声が聞こえているかどうか尋ねられて、僕はちゃんと聞こえていたのですが、真綾さんはよく聞こえてなかったみたいです。すると真綾さんは、「私には、もうちょっと魔法をかけてください」と答えました。その言い方が、すてきでした。「聞こえません」と怒る女優さんもいると思うのですが、さらっと「魔法をかけてください」と言える感性がすごいなと。そういうところは、ジルーシャと似ています。

僕がこの作品で好きなのは、ジルーシャが、僕が演じる「足ながおじさん」ことジャーヴィスから援助を受けるだけでは終わらず、借りをちゃんと返して対等な関係になるところです。真綾さんにも、そういう何かに寄りかからない強さを感じます。それとあわせて、さっきのすごく反省する一面もそうですが、人間としての揺れや不安もちゃんと持っていて、僕に比べると全然それを隠さないというか、自然体で生きているところもジルーシャと重なって見えます。

僕も、ジャーヴィスに似ているところがたくさんあるし、真綾さんにも同じようにジルーシャと似ているところがたくさんあります。だから、自分で言うのはとても恥ずかしいのですが、本当に奇跡のキャスティングだったのかな、と思いますね。

井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP社)。2018年1月は舞台『黒蜥蜴』(9~28日、日生劇場)に明智小五郎役で出演。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第13回は2018年1月6日(土)の予定です。

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