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九州 味めぐり

備長炭が生む人気の味 元祖もも焼き 鶏料理専門店「丸万焼鳥本店」

日本経済新聞西部夕刊

2017/12/21

 骨付きの鶏もも肉に包丁で十数カ所切り込みを入れ、赤々とおこった備長炭で一気に焼き上げる。時間は約1分、味付けはほぼ塩のみ。鶏の脂が炭に落ち、炎を上げる。丸万焼鳥本店の店主、前田龍好さん(57)は3代目だ。午後5時の開店を待ちわびた客で席はすぐに埋まる。

 最初に食べるか、最後に食べるかは客次第。キュウリと鶏ガラスープがセットになった「もも焼き」(1200円)は、中まで火がしっかり通り、思いのほか軟らかい。「骨付きをかぶりつき、1人で平らげる女性客もいる」という。客の求めに応じ、肉を骨から切り離して出してもくれ、数人でシェアしてもいい。

イラスト・広野司

 “元祖もも焼き”をうたうだけに歴史も古い。スタートは1954年、宮崎県庁前の屋台だ。串焼きやスズメの丸焼きを出していたが、漁師の娘だった前田さんの祖母の発案で、骨付きのもも肉をアジの開きのように開いて焼いてみた。「最初は売れなかったが、やがて口コミで広まり、行列ができるようになった」と前田さん。屋台は数カ月で撤去され、今の店のある宮崎市内の繁華街に移った。

 「二十数年間、もも焼きだけだった」と話すように、メニューは今も少ない。息子と一緒に調理場に立つ前田さんは「息子の提案で鶏ガラだけだったスープにネギとショウガ、ニンニクを入れてみたら、客から好評です」と目を細める。

(鈴木豊之)

 〈まるまんやきとりほんてん〉宮崎市橘通西3の6の7電話0985・22・6068

食べ歩きが大好きな地元在住のライターや日経記者が見つけた九州・沖縄のとっておきの味を紹介します。

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