新顔鍋に「いいね!」 湯気もインスタ映え
寒い冬に一度は食べたくなる鍋。今年も新しいアイデアを盛り込んだ新顔の鍋がたくさん登場している。きれいな色が写真に映えるフルーツ鍋や、ぐつぐつ、とろーりといった動きが食欲をそそる動画映え鍋などSNS(交流サイト)への投稿を意識した鍋が多い。今年の流行語大賞にもなった「インスタ映え」。たくさんの「いいね!」をもらって温かく今年を締めくくりたい。
東京・神谷町駅からほど近いイタリアン料理店「TOSCANA(トスカーナ)」。この店では動画映えを意識した鍋を出している。「スパイシーラムのスキレットマト鍋 とろ~りチーズソース」の味の決め手ならぬ、見た目の決め手は仕上げに店員がロールキャベツの上にかける溶かしたチーズ。トロッとした粘り気のあるチーズを客の目の前でゆっくりと垂らす。重たげにチーズが落ちる瞬間が動画撮影の絶好のタイミング。客もスマートフォン(スマホ)を構えてスタンバイする。女性客は「子どもたちとの記念に動画を撮った。思い出として残せるからうれしい」と話す。
運営会社イタリアンイノベーションクッチーナ(東京・渋谷)の大槻拓也氏は「ただ料理を食べて楽しむだけでなく、チーズをかける一手間を加えることでお客さんに楽しんでもらおうと始めた」と話す。客も盛り上がり、インスタから広がり店の宣伝にもなる。神谷町店を始め、吉祥寺店など8店舗で楽しむことができる。
新大久保の蕎麦カフェ&バルBWCAFE(東京・新宿)の「高カカオ美肌フルーツ鍋」は一見、鍋とはわからない。ブルーベリーなど通常は加熱しない果物が盛りつけられている。デミグラススープにカツオなど魚介でとっただし汁を加え、そばの実を練り込んだハンバーグを煮込む。美肌効果があるとされる果物を乗せて完成する。
オーナーの鈴木雅和氏は「もともと女性客が多く『食べてきれいになる』をコンセプトに、見た目も華やかな料理を提供したかった」と語る。
11月から2月までの期間限定。時間が経つと果物の甘みがスープに溶け込み、さわやかな香りが立ちこめる。女子会や忘年会の話題にもなると人気を集めている。
写真共有サイト、インスタグラムへの投稿は子供から大人まで幅広い世代に広がった。街中のレストランなどで多くの人が写真や動画を撮る姿はもはや日常的な風景だ。動画なら湯気や鍋が煮えた様子など写真では難しい表現も可能になる。
見た目で盛り上がり、おいしさでも盛り上がる。楽しい一瞬を動画に残し、今年最後の思い出を刻んではいかがだろう。
(今橋瑠璃華、金尾久志)
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