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KinKi Kids ベスト盤を読み解く 2人の魅力は「声」

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NIKKEI STYLE

KinKi Kidsのオールタイムベスト『The BEST』が2017年12月6日にリリースされた。1997年のCDデビューから2017年までの間に発表したシングル38枚の全A面を収録したベスト盤は、邦楽とか歌謡曲とかアイドルソングといったカテゴリーを超えて、永く歌い継がれるべき美しき日本の歌ぞろい。誰の心にも懐かしさや切なさを運んでくれるものばかりだ。色あせない楽曲はいかにして生まれたのか。音楽づくりに関わってきた人たちは、「2人の魅力は声にある」と口をそろえる。

どんなジャンルの曲であっても、一聴しただけで、KinKi Kidsと分かる、キャラクターのある声――。

デビューシングル『硝子の少年』を手掛けた山下達郎は、それを「濡れた声」と表現した。『硝子の少年』は、2人の情感と声の匂い、声の対比を十二分に出せるよう、山下が考え抜いて生まれた曲であるという。

KinKi Kidsと縁の深い音楽プロデューサーの武部聡志は、「そもそも売れるポップスというのは、声が命なんです」と断言する。「リスナーの心をつかむために大切なのは、うまい下手のテクニックではない。歌声の味であり、情感です。なぜだか分からないけれど、ひかれてしまう。その理由なき引力がある声こそ、歌手にとって最大の武器」

ソロではなくデュオであることも、歌声を魅力的に感じさせる大きな要素だ。2つの声が混ざり合って生まれる音の中に、響きがあり、揺れがあり、広がりがある。

最初のレコーディングには、山下自身が立ち会っているが、そこで2人が歌うことの難しさと楽しさに目覚めたことは、想像に難くない。当時44歳だった山下は、硝子のように透明でもろい少年の心を歌った曲を、「一生歌える歌だよ」と言って、18歳の2人に手渡した。彼らは今もそれを大切に歌い続け、作品の奥行きをどんどん深いものにしている。

音楽の原点がマイナー歌謡になったのにも、立派な理由がある。山下がジャニーズ事務所社長であるジャニー喜多川氏から「初登場1位でミリオンを」とプレッシャーをかけられたとき、「ジャニーズとは一種の伝統芸能だから、母親世代まで引きつければ何とかなるのでは」とひらめいたからだ。当時の販促用のパンフレットに山下は、「フォーリーブスを生きたママたちと、今まさにKinKi Kidsを生きる娘たちが、時を超えてつながるなにかを表現できたらと思い、この曲を作りました」とコメントを寄せている。

「不良が匂っている子だよ」

KinKi Kidsには、山下の他にも、何人もの音楽の師匠がいる。番組で共演していた吉田拓郎からは、楽器演奏の楽しさと、ミュージシャンに不可欠な反骨精神を学び、多くのヒット曲の歌詞を手掛けた松本隆からは、日本語の持つ美しさを学んだ。ディスコグラフィーを見ると、この20年、様々な時期を過ごしているが、2人はこの世に送り出された時から歌謡曲のDNAを次世代へつないでいく役割を託されていたと言える。

反骨精神に関しては、ジャニー社長自身が、作家の伊集院静に歌詞を依頼する際()、「あなたの好きな不良が匂っている子だよ」と紹介しているから、ローティーンの頃からすでに、どこかとがった精神の持ち主だった可能性はある。孤独でハングリーな要素を持ち合わせ、だからこそ音楽との出合いによって救われた部分もあったのだろう。第3者の手によって生まれたアイドルグループであっても、2人が出会い、音楽にのめり込んだことは、結局、生きていく上での必然だったのである。

音楽におけるKinKi Kidsの存在感はアイドルの域をとうに超えている。制作現場を知る人は、KinKiの音楽スタッフの誠実さと優秀さを称賛し、「楽しく、刺激的だから」と、大きな喜びと誇りを持って音作りに参加している。

誰もが口ずさめる流行歌が生まれなくなって久しい。いつしか、音楽は、歌よりもパフォーマンスに重きが置かれるようになった。それでも、KinKiとそのスタッフの音楽への向き合い方は変わらない。その情熱は、20年前からずっと、いい歌を歌うことだけに注がれている。

※99年に発表された6枚目のシングル『やめないで,PURE』を伊達歩名義で作詞している。

(ライター 菊地陽子)

[日経エンタテインメント! 2018年1月号の記事を再構成]

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