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動くステージ、空飛ぶスター 進化するコンサート演出

日経エンタテインメント!

2017/12/20

大規模なコンサートが年々増えるのに伴い、観客を喜ばせる様々なステージ演出が進化を遂げている。ドーム・スタジアムクラスの会場で、ここ約10年でよく使われるようになったのが、観客の頭上をステージが通過していく「ムービングステージ」だ。「3Dフライング」や「4Dフライング」と呼ばれる、アーティストが会場を自由に飛び回れる仕掛けも増えている。アーティストをより近くに感じられる最新演出を紹介しよう。

ムービングステージは費用が数百万円ではきかない大掛かりなセットである上に、レールを敷くため座席数が減るなど、予算が潤沢なアーティストしか使えないという現実も(乃木坂46の2017年のコンサートより)

「ムービングステージ」は透明のアクリル板でできた可動式のステージで、その上でアーティストが歌って踊りながら観客の頭上を通過していく。最新型では上下左右に移動できるタイプも出現している。発案者は嵐の松本潤で、よりお客さんの近くに行けるサプライズ的な演出を考えていたところ、「お客さんの上をステージでいけないかな」との一言をきっかけに、実現に至ったそうだ。

2005年に嵐のコンサートで初めて披露され、他のジャニーズのグループも使用するように。ただ幸か不幸か、特許を取得しなかったため、現在では他のアーティストのコンサートでもよく見かけるものとなっている。アイドルなど大人数のグループが用いることが多いが、B ’zやゆずなどの2人組ユニットがコンサートで使用した例もある。

女性が使用する場合には工夫が必要だと、乃木坂46やmiwaの舞台監督を務めるコンサート制作会社N.A.S.Cの加藤亮氏は語る。「ステージが透明になっているため、衣装をスカートからパンツスタイルに着替えるなどして対応しています。乃木坂46の橋本奈々未さんの卒業コンサートでは、スカート姿の彼女の足元に大きめにデザインされた布を敷きました」。

■演出では消防法も意識

観客のより近くに行くため、昔から使われてきた演出の定番が「トロッコ」や「フロート」と呼ばれる移動車だ。昔はトラックの荷台に乗って会場を回る時代もあったという。現在では専用車が発明され、壁面に液晶パネルを設置してアーティストたちを映し出せるタイプなども出てきている。アーティストたちの本音としては、観客席に直接下りていくような演出をやりたいそうだが、消防法でそれを禁じている会場も多く、乗り物に乗ることでその制限をクリアしているという裏事情もあるそうだ。

そして会場を平面だけでなく、立体的に使う演出も進化を遂げている。はしご車やバルーンの付いた気球に乗ったり、宙吊りになるなどの数々の手段が使われてきたが、自由度の低さがネックとなっていた。そこで近年用いられる機会が増えているのが「3Dフライング」や「4Dフライング」と呼ばれるもの。アーティストを4方向からワイヤーで支え、コンピュータ制御することで会場を自由に飛び回ることができるのだ。それを複数人が乗れる特別な台などに利用してフライングを行う場合もある。

 そして、今後新たなフライングとして考えられるのがドローンを使った演出だという。「海外では複数の光を放つドローンを使って、光の演出をする例も増えています。いつかはアーティストがドローンに背負われて、フライングをするような時代が来るかもしれません」(加藤氏)。

今後もアーティストをより近くに感じられる、驚きの演出が新しく生まれそうだ。

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2017年12月号の記事を再構成]

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