細かく費目を分けて書くことも、面倒な計算も必要ない! 簡単なのに、1年の貯蓄額が50万円増えた人もいるという、話題の「クリアファイル家計簿」。家計簿をつけるのが苦手な人も、きっと続くはず。
毎日のムダ遣いを見直し、年10万円以上貯蓄額がアップ
「家計簿は家計管理の基本ですが、私が家計診断をした人の8割は続かなかった経験がありました」と話すのは、FP歴30年のいちのせかつみさん。今回紹介する「クリアファイル家計簿」の考案者だ。
クリアファイル家計簿とは、生活費を1日単位でクリアファイルに入れて、レシートとお釣りを管理するもの。1日の予算を現金で見える化しながら管理するので、なぜか使いすぎる人の家計をシンプルに管理して、改善点に気づかせてくれる。
「1日300円のムダ遣いをやめるだけで、年10万円は貯蓄を増やせますよ」
「クリアファイル家計簿」は、こんな人に向いている
1.家計簿をつけようと思っても、いつも続かない……
→費目分けも、書く時間もいらないから簡単
「家計簿挫折の原因のひとつは、費目分けが難しく、記入するのに時間がかかること。書いたり計算したりする必要がないので続きます」
2.節約ばかりしていたら楽しくないと思う
→余ったお金はあえて使う! だからストレスフリー
「1日の予算を守った結果、1週間から1カ月単位で余ったお金は、好きなように使って構いません。たまの散財で、ストレスを解消できます」
3.老後のお金が不安……
→決まった額で暮らす習慣を身に付けて安心に
「数十年先の老後に必要な額を考えても、不安になるだけ。1日の決まった金額で暮らす感覚を身に付けたほうが安心できます」
4.もっともっと貯蓄額を増やしたい!
→必要な生活費を見える化。無理なくためられる額を知る
「無理して生活を切り詰めても、貯蓄は続きません。まずは生活費やそのほかの経費を見直し、無理のない貯蓄額を決めることが重要です」
【まずは3カ月挑戦! 「クリアファイル家計簿」の始め方】
■最初に:クリアファイルで管理する「現金」を計算する
クリアファイル家計簿の一番のポイントは、1日の食費・日用品代の上限額を意識すること。シングルひとり暮らしや共働きなら1日2000円、シングル実家暮らしなら1日1000円を目安にし、手取り月収内で無理がないように設定しよう。服飾費・美容費や交際費は特別支出として上限額を算出。これらをクリアファイルで管理する。
・買い物には電卓を持参する
スーパーで安売りしていると、使い道を決めないまま、ついついカゴに入れてしまう。「電卓かスマホの電卓機能で計算しながら買い物し、常に予算内に収まっているかを意識して」
・固定費はすべて口座振り替えにして「見えない化」する
通信費や光熱費などの固定費をコンビニで支払っている人は、すべて口座引き落としに変えて。口座に残らない=自動的に「見えない化」することで、家計管理がよりシンプルに。
・3カ月は電子マネーとクレジットカードを使わない
財布から現金が減らない電子マネーとクレジットカードは、お金を使いすぎてしまう要因に。「クリアファイル家計簿で金銭感覚を身に付ける3カ月から半年間は、使わないこと」。
■STEP1:1日2000円の「食費・日用品代」をファイルで管理する

クリアファイル:ポケットが20枚以上ある、A4かB5サイズのもの。新品を買う前に、使っていないファイルを探して。
紙:各ポケットが表裏各1日使えるように、仕切りを。最初からファイルに入っている紙やコピー用紙で。
千円札2枚×日数分:1カ月の食費・日用品代を千円札で、1日2000円×30日なら6万円分を。1週間分ずつ用意しても○。
(1)紙の裏表に日付を書いてクリアファイルに入れる
紙に日付を書いて、前から順にポケットに入れていく。紙の裏表それぞれに、1日目、2日目と書こう。

(2)ファイル1ページが1日分! 1日ごとに2000円を入れる
ファイルの片面が1日分。用意した現金から、1日ごとの予算を、それぞれの日付に入れていこう。

(3)毎朝、その日分の2000円をお財布に入れる
朝、その日の分の現金を財布に入れる。前日に残った現金は、小銭も含め、財布から出しておくこと。

[POINT]「1日2000円」で払うものは? → スーパーやドラッグストアで買う食材や日用品はもちろん、コンビニで買うペットボトルなど「財布から出す日常的な買い物」はすべてここから支払う。「ランチや夜の外食も、純粋に食事なら、このなかから。ただし、夜の飲み会は『交際費』として特別支出から出すなど、フレキシブルに」
(4)夜、レシートと財布に残った現金をファイルに戻す
買い物のときはレシートをもらい、帰宅したら、1日分のレシートとお釣りを、朝、現金を抜いたページに戻す。そのまま1週間~1カ月間キープ。

→ クリアファイルに残った「お釣り」は好きに使い、「ためストレス」を解消!
数百円単位で、毎日残る小銭。「1週間ごと、2週間ごと、1カ月ごとなど、まとまった期間で合算し、『ご褒美』として自由に使うこと! おいしいものを食べてもいいし、それをさらに数カ月分ためて旅行してもOK」
■STEP2:特別支出を管理する
(1)「特別支出分」ページに月額を新札で入れる
特別支出の管理ページを、1日ごとの予算管理ページの後ろに作る。1カ月分を新札の1万円札で準備して入れる。

[POINT]新札を入手する方法は? →銀行の両替機は、新札が出やすくなっている。例えば1万円札の新札を3万円分欲しければ、自分がキャッシュカードを持っている銀行で、3万円を両替機に入れ、「1万円札×3枚」と指定する。
(2)特別支出分は、使う日だけ必要な額を財布に入れていく
その日、飲み会がある、買い物の予定があるなど、使う日にだけ必要な金額を財布に。食費・日用品代と一緒にならないように、封筒に入れるか、札入れが2つ以上に分かれた財布なら、分けて入れておく。
(3)残ったお金は、「特別支出分」ページに戻す
帰宅後、レシートと一緒に、残金を特別支出分のページに戻す。「新札の1万円札を崩すもったいなさから、ムダ遣いが減ります」。
[POINT]もしもクレジットカードを使ったら… → 電子書籍の購入など、現金決済が難しいものをクレカで支払った場合は、「クレジット決済分」ページを作り、「特別支出分」から移動。月末に口座に戻す。

[POINT]米代は別に管理 → 「米代は、1日2000円の予算に収まらないことが多いので、別会計にします」。ファイルの後ろのページに「米代」ページを作り、そこに仕分けて。
[POINT]味噌、しょうゆなどの「調味料」はどう考える? → 「1日の予算に収まるので食費に。慣れたら水などは特別支出からまとめ買いしても構いませんが、最初は1日の予算内で」
→ 特別支出分の残りも自由に使ってOK!
「特別支出分も、1カ月の終わりに、余ったお金を使って構いません」。数カ月連続で数万円余るなら、月々の貯蓄額を増やすことを検討。「節約上手でたくさん余る人は、習い事など自分のために使うのもおすすめ」
衝動買いを改善するには「買ったモノリスト」をつけてみよう
なぜかお金がたまらない人、衝動買いが多い人は、「買ったモノリスト」を残して。下の表をノートに書き、買ったモノとその金額、どれくらい欲しかったか、実際に満足したかを5段階評価で記録して、振り返りを。飲み会など、形のない支出分も書こう。
[POINT]飲み会など、まとまったお金が必要なときはどうしたらいい? → 予定が決まったら、特別支出分から分けておく。当日の誘いは基本的に断る。どうしても……というときだけ銀行でおろし、次の日に「特別支出分」ページから口座に戻して。
[POINT]年に1度の旅行などのお金は、どう捻出する? → 毎月の特別支出分から一定額を取り分けて、銀行口座に「積み立て」てためる。半年に1度程度、コートなどの大きな買い物の計画を立て、必要に応じて積み立てを。
(写真 スタジオキャスパー)

[日経ウーマン 2017年12月号の記事を再構成]