HISも、エアビーアンドビーのような新業態を水面下で検討しています。私は社内に向けて「時流に乗って伸びるところに力を入れなさい」と言っています。「昔からこのやり方がよかったから」と伸びない市場、ビジネスモデルにいつまでもしがみついても仕方がない。OTAの時代が来たら、それに対応して旅行商品を売らなければいけない。実際、船のクルーズが伸びているので、クルーズ事業に力を入れています。

消費者が変われば、会社も変わる

究極的にはエージェント(代理業)である旅行会社なんて、いらなくなる時代が来るかもしれない。大変な時代ですよ(笑)。そうしたことまで考えていかないと、会社として生き残っていけません。10年後、HISが電力会社やロボットの会社に様変わりしていたとしても、私は驚きません。

結局、消費者をどうとらえるかというのが大事なんです。17年に名古屋でレゴランドが開業し、遊園地やテーマパークへの新規参入が再開したというので話題になりました。しかし、入場料金が割高だという批判が起きました。園内の飲み物や食べ物も高いと不評でした。こうした負の評判は、最近はツイッターなどですぐ大勢の人に拡散します。それで行こうとしていた層が控えたのではないですかね。

消費者は賢いですよ。今は手軽に情報が入手できる時代ですから、サービスの内容や品質が「本物」でなかったら見向きもされません。昔は旅行の情報を知りたいと思ったら、専門業者に行く必要がありましたが、今ではスマホで簡単にアクセスできる。パソコンすら要らない。レゴランドは今の時代の消費者を甘くみたのかもしれません。普通の生活者、消費者の感覚では、飲み物や食べ物にあれほどの値段はつけないですよね。

レゴというのは世界屈指の玩具ブランドですから、多くの人が興味を持っている。それなのに集客が伸び悩んだのは、料金政策を少し甘く見たということに尽きるんでしょう。この頃、料金を見直して客足が戻っているとも聞きます。これからですね。

値段に見合う「質」が問われる

あまり書かないでほしいのですが(笑)、ハウステンボスもじわじわと入場料金を上げてきました(編集部注:現在、大人の1DAYパスポートは6900円。18年3月に100円値上げする予定)。五つ星ホテルのホテルヨーロッパは、私が10年にハウステンボスの再建に乗り出したころは1泊1万円でした。今や高い部屋だと4万~5万円です。その代わり、中身が劇的に改善しています。ロビーでミュージシャンが美しい音楽を奏でたり、花を部屋に飾るサービスをよくしたりといったように、クオリティー(品質)を上げています。

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら