美容や抗加齢にも 健康効果高めるワインの飲み方

日経ヘルス

(写真:鈴木正美)
(写真:鈴木正美)
日経ヘルス

世界中で広く親しまれているワイン。ワイン色の醸造酒には、発酵や熟成を経て、美容やアンチエイジングに役立つポリフェノールが豊富に溶け込んでいます。そんなワインを健康に役立たせるコツを紹介します。

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白ブドウや黒ブドウを原料に、フランスなどのヨーロッパや米国、南米など世界各地で広く造られているワイン。国産も登場し、今やコンビニやスーパーにも多種類のワインが並び、家庭で気軽に楽しむ人が増えている。

ワインに含まれる注目したい成分は、アントシアニンなどのポリフェノール。ワインに詳しい山梨大学ワイン科学研究センターの佐藤充克客員教授は、「ワインのポリフェノールは、動脈硬化の一因となるLDLコレステロールの酸化を防ぐ」と話す。

また、ポリフェノールの一種で抗酸化作用のあるレスベラトロールは、認知症予防など、脳の機能改善に有効という報告がある。「ポリフェノールはブドウの果皮や種子に多く含まれるため、ブドウを丸ごと発酵・熟成させた赤ワインは、果皮と種子を除いて発酵させる白ワインに比べて、ポリフェノール量が多い」と話す。また、「ブドウの果肉には、学習や記憶に関わる脳神経ホルモンの働きを助けるペプチドを含み、これは白ワインにも含まれる」(佐藤客員教授)。

これらの健康効果を期待するなら「ワイングラス1~2杯を目安に食事と一緒にとるといい」(佐藤客員教授)。

ただし、アルコールを含む飲料の飲み過ぎは禁物。飲み過ぎは肝臓に負担がかかり、様々な疾患の原因になることも。もちろん、お酒を飲めない人は、無理に飲む必要はない。

ワインを効かせる飲み方は → 1日2杯(400ml)
ワインの健康効果を期待するなら、1日にワイングラス2杯が適量。しかも、ポリフェノールが豊富な赤がお薦め。ワインを1日300~400ml飲むと、心臓病や認知症の発症リスクを低減するという報告もある。

ワインの5つの健康効果

1.動脈硬化を予防する

悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロールは血中で活性酸素により酸化されると血管内に蓄積し、動脈硬化を引き起こす。ワインをとるとLDLが酸化されにくくなり、動脈硬化を防ぐ。この効果は疫学研究でも多数報告されている。

適量のワインでHDLコレステロールが増えた
2型糖尿病の患者で45~70歳の男女224人を対象に3群に分け、夕食に150mlの赤ワイン、白ワイン、ミネラルウオーターをのんでもらい、2年間追跡調査をした。食事は健康的な地中海食を食べてもらった。結果、赤ワイン群は、ミネラルウオーター群に比べ血中のHDLコレステロールが上昇した。ワイン群では水群に比べ血中の中性脂肪が減少、白ワイン群では血糖値も低下した。(データ:Ann Intern Med.;163,8,569-579,2015)

2.抗酸化作用が強い

ワインにはアントシアニンやタンニン、カテキン、レスベラトロールなど何種類ものポリフェノールが含まれ、強力な抗酸化作用を発揮する。活性酸素の働きなどを抑制するため、アンチエイジング効果も期待できる。血流を促し、美肌や冷え対策にも。

3.脳機能を改善する

ワインに含まれるポリフェノールやペプチドが、脳の神経細胞を保護し、脳機能を改善するという報告がある。ほかにも、適量の赤ワイン(1日に100~300ml)が、認知症やアルツハイマー病の発症リスクを低減するという報告もある。

4.うつ状態が防げる

適量のワインにはうつ状態を防ぐ働きもありそう。フランスのナバラ大学らの研究で、55~80歳の男女5505人を7年間追跡調査した。ワインを週に2~7杯飲んでいた人は、飲まない人に比べ、うつ病の発症率が32%低下していた。

5.抗菌作用で胃腸を守る

白ワインは有機酸とアルコールを多く含み、高い殺菌力を発揮する。「試験管での実験だが、10万個のサルモネラ菌が10分間で死滅した」(佐藤客員教授)。また、シラー種の赤ワインは胃がんの一因とされるヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を抑えるという報告もある。

【ワインの健康トリビア】

ワインは、古代ローマ時代から薬効を持つ飲み物としても大切に飲まれてきた。地中海沿岸などワインの名産地では、家庭に常備され、日常的に飲まれている。ワイン産地で心臓病の発症が少ないのは、ワインの摂取が関係しているとの研究も目立つ。

高脂肪食を食べても心臓病を予防する

フランス人はバターなど動物性脂肪の摂取量が多いのに、心臓病(虚血性心疾患)にかかる人が少ない。この現象は、「フレンチパラドックス」と呼ばれる。1990年代に、この現象を裏付ける研究が報告された。そして、健康には良くないと思われていたワインを毎日飲むことで、ポリフェノールを摂取しているためではないかと話題を集めた。健康に役立つ成分としてワインのポリフェノールが脚光を浴びるきっかけになった。

ワインに含まれるポリフェノールが、腸内細菌の多様性を高めるかも

赤ワインに多く含まれるポリフェノールは分子が大きく、腸で吸収されにくい。そのため、「食物繊維と似た働きをすると考えられる」(佐藤客員教授)。また、白ワインの味の決め手の一つとなる酸味は「酒石酸や乳酸などの有機酸。腸内を酸性にして、酸性を嫌う悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌を増やす働きが期待できる」と佐藤客員教授は話す。

酸化防止剤で悪酔い? こだわり派は選ぶ際に注意を

ワインには酸化防止剤として亜硫酸が添加されていることがほとんど。「ワインは保存中に酸化が進むので、使用しないと、長期保存・熟成は不可能。亜硫酸にアレルギーのある人は注意したほうがいい」(佐藤客員教授)。オーガニック認証を受けるなど原料や栽培にこだわったビオワイン(自然派ワイン)や国産ワインの中には亜硫酸無添加の商品もある。気になる人は、選ぶ際に気をつけよう。

アルコール飲料の中では糖質量が控えめ

ワインは、アルコール飲料の中では糖質がゼロのウイスキーや焼酎に次いで糖質が少ない。「甘口のワインは発酵の期間を短く調整しているため、糖質がやや多め」(佐藤客員教授)。貴腐ワインなどのデザートワインも糖質が多い。

色の違うワインはポリフェノール量も違う

ワインは熟成すると、アントシアニンとカテキンなどのポリフェノール同士が結びつく重合が進み、色調も変化する。紫色から赤、レンガ色になり、ポリフェノールの抗酸化活性も増す。味も角がとれてまろやかに。「1000円前後のチリ産やアルゼンチン産の赤ワインは色も濃く、熟成しているものもあり、お薦め」(佐藤客員教授)。

ポリフェノールを多く含むのは赤ワイン

【ワインライフを充実させる+αレシピ】

ワインと相性のいい素材を組み合わせたアレンジレシピを紹介。電子レンジを使ったホットワインは、アルコールが飛んでお酒が苦手な人も楽しめる。ベースにするワインの銘柄は好みのものを選んでみよう。

+スパイス スパイスが香る、滋味あふれる味わい

赤ワイン……120ml 好みのスパイス(カルダモン2粒、シナモンスティック1本)

電子レンジの「あたため」「酒のかん」モードでホットワインに。シナモンやカルダモンなどのスパイスには、血流を促す作用がある。コショウを振るだけでもピリッとした味わいに。

+ベリー ポリフェノールリッチ、美肌対策に

白ワイン……120ml 好みのベリー(巨峰、ブルーベリー、ラズベリー)

白ワインの酸味とフレッシュなベリーの組み合わせ。冷蔵庫に保存して、1日たってもおいしい。ベリーは冷凍のものを使っても。ベリーのポリフェノールが溶け出し、美肌に導く。

+炭酸水、ショウガ ショウガの辛みがさわやか、食前にも合う

白ワイン……100ml 炭酸水……100ml おろしショウガ……小さじ1 ハチミツ……小さじ1~2

炭酸水とショウガの辛味ですっきり味に。食前酒としてもお薦め。疲労を回復する働きのある炭酸水は、食前にとると胃が膨らんで満足感が得やすく、ダイエットにも効果的。

+オレンジジュース 抗酸化ビタミンを補給、 免疫力をアップ

赤ワイン……100ml オレンジジュース……100ml

オレンジジュースは、抗酸化作用のあるビタミンCやβカロテン、βクリプトキサンチンなどの健康成分を含み、免疫力アップに役立つ。赤ワインの渋みもまろやかになる。

佐藤充克さん
山梨大学ワイン科学研究センター客員教授。東北大学農学部卒業。メルシャン酒類研究所所長、山梨大学ワイン科学研究センター特任教授などを経て現職。ワインの製造や機能性研究のエキスパート。「ワインは疲労やストレスがたまっている人によく効く。飲む人は少量を心がけて、続けてみては」

(ライター 松岡真理、写真 鈴木正美、スタイリング タカハシユキ)

[日経ヘルス 2017年12月号の記事を再構成]