ミドル以上の左党の多くが気にする尿酸値、そして痛風。前回「痛風予備群1000万人以上!? ビールより酒量に注意」では、実はアルコール自体に尿酸値を上げる作用があり、飲酒量が多くなるほど痛風リスクが高まることを紹介した。では、尿酸値を下げ、痛風におびえない生活にするには、生活習慣をどう改善すればいいのだろうか。 前回に引き続き、酒ジャーナリストの葉石かおりが東京慈恵会医科大学名誉教授の細谷龍男さんに話を聞いていく。
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最近の忘年会は飲み放題が増えた。飲まない人にはうれしくないかもしれないが、左党にとっては、酒代、そして周囲の冷たい目線を気にせず、遠慮なく注文できるのはありがたい。飲み放題となると、最初はビール、喉が潤ってきたら日本酒とワイン。そして宴もたけなわになってくると、ハイボールをチェーサー代わりに飲みながら、仕上げに本格焼酎のロックなんてことも(……筆者だけか)。
宴会が続く時期、尿酸値が高い左党は、尿酸値を上げるビールに、プリン体た~っぷりのおつまみのダブルパンチで、「痛風の症状が出たらどうしよう」とひやひやしているのではないだろうか?
さて、前回記事「痛風予備群1000万人以上!? ビールより酒量に注意」では、「ビールはプリン体を多く含み尿酸値を上げるというのは確かだが、実はアルコールそのものに尿酸値を上げる作用がある。だから、ビールだけ控えればいいわけではなく、アルコールの摂取量を抑えることが大事」だということをお伝えした。
しかし、アルコールそのものもダメ、ビールはもっとダメとなると、左党はどうやって尿酸値を下げればいいのだろうか。「コレさえすれば尿酸値が下がる」などというありがたい対策はないものか。
できれば日本酒1合、ビール中瓶1本に抑えたい
東京慈恵会医科大学名誉教授の細谷さんが、酒飲みの人にまず勧めるのは、酒量を減らすこと。やはり、お酒を減らさなくてはならないのか……(泣)。
「健診などで尿酸値が高いと指摘された人は、まずは酒量を減らし、適量を守ってお酒を楽しむようにしましょう。前回も紹介しましたが、全くアルコールを飲まない人に比べ、1日に純アルコールにして30~49.9gを飲む人は痛風発症リスクが約2倍に高まります」(東京慈恵会医科大学名誉教授の細谷さん)
ここでいう「適量」とは、本コラムで毎度出てくる「純アルコール20グラム」を指す。日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本程度である。つまり、日本酒を2合飲めば、リスクは2倍になるわけだ。さらに、細谷さんは、「休肝日」を設けることを勧める。
「週2日の休肝日を設けることも大事です。毎日飲む人は尿酸値が上がりやすいという報告もあります。ウイークデーに飲む機会が多いなら週末は控えるなど、自分のライフスタイルに合った方法で休肝日を設けるといいでしょう」(細谷さん)
やっぱり適量と休肝日はここでもセットなのだ。毎日飲む習慣のある人にとっては耳が痛いが、「男泣きするくらい痛い」痛風を発症させないためにも、なんとか自制しよう。また、尿酸値が高い状態(高尿酸血症)は、痛風の発作が起こるリスクが高くなるだけでなく、様々な生活習慣病を招きやすく、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることも改めて認識しておきたい。
断酒がつらいなら、程よく飲んでストレス発散!
とはいえ、1日1合というのは左党にとってはつらい量だ。中には、「ええい、この際、いっそのこと尿酸値が下がるまでしばらく飲むのを我慢する」と断酒を思い立つ方もいるかもしれない。しかし、細谷さんは、「アルコールを飲まないことが我慢、つまりストレスになるのなら、かえって良くない」のだという。
「お酒を我慢することがストレスになるなら、適量を守って飲んだほうがいい。というのは、ストレスと尿酸・痛風は関係が深いのです。ストレスによる自律神経の乱れが尿酸の産生を促すとともに、尿酸の排出を低下させると考えられています」(細谷さん)

「私が診た患者さんでも、ストレスの影響で痛風の症状が出てしまい、翌日の大切な式典を欠席せざるを得なくなった方がいます。ストレスが多い生活は、尿酸値を上げる大きな要因です。ストレスの原因を見つけ、ため込まないのが大事です。ストレスのサインをキャッチしたら、無理せず休むことを考えましょう」(細谷さん)
なるほど、程よく飲んで、ストレスを発散することは決して悪いことではないわけだ。これを聞いてちょっとホッとする。
ワインは尿酸値が上がりにくい!?
細谷さんは、お酒の種類にも気を配るといいと話す。実は赤ワインは尿酸値が上がりにくいのだという。