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私のリーダー論

「忖度」しない経営人材を育成 三菱商事社長 三菱商事の垣内威彦社長(上)

2018/1/4

「こういったOJTを補完するプログラムとして、財務や会計の基礎プログラムや入社8年目までの全職員を対象に海外での経験を積ませる海外研修があります。グローバル人材も意識しているので、近年、できるかぎり若い段階で機会を与えようと意図的に始めました」

――垣内社長がもっとも成長した経験は。

垣内氏は「30代前半のオーストラリアでの勤務経験が大きな成長につながった」と振り返る

「やはり、もっとも大きな成長につながったのは取締役としてオーストラリア三菱商事の現地法人に赴任したときです。まだ30代の前半でした。そこで会社の経営に参加した経験は、非常におもしろかった。それまでも、ものを買ったり、売ったりしていたんだけど、会社の意思決定の一員になれたことが楽しかった」

「よく若い人に『会社を経営するとは何か』と尋ねられますが、やってみたらわかると答えます。大変ですよ。自分がいいかげんなことをすれば、社員もそうなる。数字をあげるだけでなく、その会社の人と同じ目線でチャレンジし、事業をよくする姿勢がなければいけない。みずからの倫理観を常に問われ続ける場です」

■スタイリッシュさより本質を

――商社は就職で人気があります。採用現場では、どのような資質を見ていますか。

「知的水準は客観的に見ることができる。大切なのは、情熱や誠実さです。会社は、いわゆるスタイリッシュなかっこよさは全く求めていない。採用担当者には、『入社後に修正できる資質を理由に不採用にするな』と強くいっているんです。たとえば、少し服装や言葉遣いがやぼったいとかね。当たり前だと思うかもしれませんが、『本質』を見抜くのは簡単ではありません」

「入りたいと思う人を、お断りすることへの非礼も体感してほしい。全力を尽くして採用したい、と思わなければいけません。私は、新入社員に『来てくれてどうもありがとう』と必ずいうんです。能力があっても縁がなければ入社してくれないし、しつこい面接につきあって三菱商事を選んでくれた人たちです」

■採用は社員も鍛える現場である

「未来の仲間探しは、『本質を見抜く力』を養える機会でもあります。実は、採用担当者を少し変えました。これまでは面接官はほぼ全員、ローテーションで回るようにしていました。しかし、近年、特に若手の社員にも、採用現場の経験を積ませるようにしています」

「一般的に多くの人は、『評価される』ばかりで自分が『評価する』ことに慣れていません。どうしても上司のいうことを『忖度(そんたく)』する力に傾きがちです。しかし、『イエスマン』を評価してしまう人は経営に向いていない。経営には、事業も人材も本質を見抜き、客観的に評価できる力が求められます。本質を見抜く採用現場は、その最初の一歩になります」

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