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三菱商事の垣内威彦社長

三菱商事の垣内威彦社長

大学生の就職先として昔から人気の高い三菱商事。2017年3月期の純利益では、伊藤忠商事から再び首位を奪還し、底力を見せつけた。「商社は人がすべて」といわれるが、同社の垣内威彦社長が求める人物像として、近年特に強調するのが「経営人材」だ。「経営人材を育てることが、会社の役割だ」と言い切る垣内氏に、具体的な人物像や育成方法を聞いた。

三菱商事自体は「もぬけの殻」

――近年、「経営人材」を求めている、と強く訴えています。具体的にどんな人材ですか。

「一言でいえば、会社を経営する人です。三菱商事は、軸となる事業会社や関連会社、約1200社からの連結利益で成り立っています。経営実体はその関係会社に移っていて、当社の利益は連結関連会社からの利益の合算です。言葉は悪いが、当社自体は『もぬけの殻』なんです。つまり、それぞれの事業会社でベストな経営をするのが原理原則です。だから我々の役割は、会社を経営する人を育成すること以外にない。難しい話ではなく、それが会社の実態なんです」

「当社のビジネスモデルは3つの段階を経ています。祖業はトレーディングですが、資源などの事業に投資して利益を得る『事業投資』に移り変わりました。そして現在は、関わる事業に人材を送り、大きく育てる『事業経営』へと変わってきている。この流れはもう止まらず、経営人材を輩出しなければ当社は行き場を失い、価値のない会社になる。もっと強くいえば、経営人材が育たなければ、会社がつぶれてしまう」

――経営人材をどのように育てていくのでしょうか。

「基本は職場内訓練(OJT)です。しかし、今と昔でずいぶん変わりました。トレーディングがビジネスの中心だった時代は、ひとつの課がひとつの会社のような動き方をしていた。いい意味で『カオス』な時代で、大小様々な取引が存在していたので、若くても意思決定に関わる機会があり、様々なことを生み出せる環境でした。そういった環境では、身を委ねるだけで成長につながります」

「今、当社のビジネスモデルの中心は『事業経営』に変わりました。しかし、入社してすぐの社員をいきなり経営者だ、とはいえません。入社してすぐは、三菱商事という会社の遺伝子や理念、顧客との対応、社会人としての基礎を学んでほしい。そこで入社後は、トレーディングや関連会社の投資管理をするなど、様々なバリエーションのある部局に配置し、基礎を鍛えています。5~10年たって基礎ができた社員は、本社で経営の現場に関わる立場に配置したり、連結対象のグループ会社で経営の役割を担ってもらったりするなど、『経営人材』として育てていきます」

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