たかがコンビニ弁当を買うためだけにスーツに着替えるのは、彼だって面倒くさいはずです。夜の街にくり出すわけではないのですから、着飾るメリットがありません。でも、三浦知良=高級スーツというファンのイメージを壊したくない。そのために手間を惜しまないわけです。
■面倒くさいと感じるようではダメ
なかには「スウェットの上から高級コートをはおれば、バレないじゃないか」と考える人もいるでしょうね。でも、それでは何か違うのです。
うちでいつもお世話になってる日本人監督のヒデさんから、それを教わりました。在米40年で、アイデンティティも感覚も完全にアメリカ人になっている人です。モデルの上半身しか映らないようなCMだと、プロデューサーの私としては、費用も時間も節約したい。そこで、こう提案したのです。
「上半身だけスーツで、映らない下半身はいまのパンツのままでいいですか?」
すると、すかさずヒデさんからNOが出ました。
「映らないからといって、下半身が何でもいいってわけじゃない。それでは本物感が出ないんです。ちゃんとスーツのボトムをはいてもらってください。ズボンにはアイロンをかけ、靴もきれいに磨いてほしい。でないと、演技に嘘が出る」
さすができる人。反省しました。
おそらくカズさんも、スウェットにコート姿だと、自信をもって買い物ができないでしょう。だから、ちゃんとスーツに着替えるのだと思います。それを面倒くさいと感じるようでは、プロではないのです。

次回は「トレーニングに時間をかけて体形を維持する本当の狙い」について取り上げます。
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