ベインの日本法人に新卒で入社する学生のなかには、海外の大学を卒業した人も多い。火浦氏は、「海外の大学を選んだ日本人は、キャリアも含めて自分の将来を真剣に考えてきた人が多く優秀だ」と話す。そうした学生を獲得するための、激しい競争にも直面してきた。 

「同窓生は、ベインにとって大切な資産だ」(火浦俊彦アドバイザリーパートナー)

 「人生100年時代」といわれ、長く働き続けなければならない若いビジネスパーソンが、一つの会社でずっと働き続ける可能性は低い。自分の成長にもっとも有利な環境を選ぼうとするとき、もし「ベインが好き」なら、一度退社した社員が戻ってくる「出戻り」が実現したり、卒業生が顧客になったりする可能性も高まるというわけだ。彼らとの関係維持は、人材採用の根幹につながっているのだ。

社会人の「基礎」を築いた場

ベインの日本代表を務めるマネージング・ディレクターの奥野慎太郎氏は、「卒業生が同窓会にきてくれるかどうかは、いい(企業)文化を維持できているかのバロメーターだ」と話す。卒業生は、現在の業績はもちろん、何より「新卒に選ばれている企業か」「人材が活躍しているか」を気にかけているのだという。

中学や高校の同窓会によく似ているが、ここに参加した元社員たちは、「ベインに社会人としての基礎の部分を育ててもらった」と話す。NTTを経て楽天の常務をつとめ、現在、葬儀関連サイトを運営する鎌倉新書で社長を務める相木孝仁氏は「ベインは自分の根幹だ」という。

コンサルタントとして入社した社員は、ビジネスの「型」を徹底的に仕込まれる。会長まで務めた火浦氏も例外ではない。「若いころは毎朝7時に会社にきて、就業時間になるまで、前日に行った分析を指導された。最初の1ページから注意された」と振り返る。「若いうちは苦労しないと。先輩が徹底的に、厳しく指導してくれたからこそ、今がある」と同窓生たちは口をそろえる。「自分はベインで落第生のほう」と話す人も多い。誰もがコンサルタントとして生き残れるわけではない。しかし、「同じ釜の飯を食った」新天地で活躍する仲間を互いに誇らしく思っているようだ。

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「出戻り拒絶」文化は原始的