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「蛾の目」で美術鑑賞 風合い守る反射防止フィルム

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NIKKEI STYLE

東京都新宿区の佐藤美術館で開催中の展覧会「吾輩(わがはい)の猫展」が話題を呼んでいる。展覧会では日本画や洋画を中心に現代作家70人がネコをテーマに作品を手掛け、愛らしいネコの作品が来場者を魅了する。これに加えてあるプラスチックの特殊フィルムがひっそりと存在感を放ち、業界関係者らしき人がまじまじと見入る姿も。関心を呼ぶ理由とは。

特殊フィルムは三菱ケミカルなどが開発した「モスマイト」という反射防止用フィルム。絵画などの額装に通常使うアクリル板の反射率は4~5%。これに対し同社の特殊フィルムを張れば0.1%。商品名「モスマイト」のモスは「蛾(が)」に由来する。少ない光を効率よく取り入れる夜行性の蛾の目の構造を三菱ケミカル独自の技術で模倣した。

カーナビ向け技術を美術展に導入

もともとカーナビ向けの反射防止用として開発を進めてきた製品。美術展での本格導入は今回が初となる。74点のうち41点の作品に装着した。

絵画や古美術品は、熱や紫外線、湿度の変化に弱い。一定期間、展示する展覧会中も色あせや絵の具のはく落につながりかねない。このため、ほとんどの展覧会で透明のガラスやアクリル板を装着し、作品を保護している。ルーヴル美術館の「モナリザ」ともなると、堅強な防弾ガラスで鑑賞者の予期せぬ接触にも備えている。

しかし、作品をよく見ようとすると、透明の保護板が鑑賞者の大きなストレスとなる。作品に目を凝らせば凝らすほど、自分の姿や展示室の照明の写り込みが目に付き、細かい部分や絵の本来の色が見にくくなってしまう。

「インスタ映え」が話題となった今年、フラッシュなしの静止画の撮影を許可する美術展も増えたが、スマートフォンで撮影する自分の姿や照明の反射に苦労した人も多いだろう。佐藤美術館の立島恵学芸部長は、「SNS(交流サイト)に公開された画像を見ると、他の美術展のものは斜めから撮ったものが多いが吾輩の猫展は真正面からの画像が多い印象で、お客さんから好評だ」と語る。

アーティストが伝えたい質感や風合いをそのままに

ニューヨークと北海道を拠点に活動するアーティスト、板東里佳さん。絹本に墨で描いたり、和紙に版画したり、繊細な作風が特徴。作品の質感や風合いを強調したい場合はアクリル板を外して展示することもある。過去の展示会で和紙のふわふわした風合いが特徴の作品を気に入ってくれた顧客が、購入後、アクリル板で覆ってしまった。「伝えたかった和紙のふわふわ感が損なわれてしまった。でもモスマイトなら作家が伝えたい質感がそのまま伝えられそう」と話す。

「予想以上の反響だ」。ほくほく顔で話すのは開発元の三菱ケミカルのモスマイトグループマネジャーの地紙哲哉氏。だが課題もある。カーナビなどへの導入を念頭に開発していたため、フィルムのサイズに制限があることだ。現在、長さは100メートル以上に対応できる。だが幅が60センチまでしか対応できない。絵画の標準寸法にあてはめると、10号といわれる長辺の長さが53センチまで。家庭のリビングに収まるくらいの小さめの絵であれば対応可能だが、美術展で展示されるような大型の作品に活用するためには、より大きなフィルムを作るための金型が必要となる。「より大きな額に合わせて大きなフィルムが必要になるため、開発を進めたい」と意欲を見せる。

政府は美術品などの文化財を観光資源として活用しやすくするため、文化財保護法の改正や国宝や重要文化財の公開期間の延長などを検討している。8日には文化庁の文化審議会が市町村ごとに文化財の保存・活用計画を策定することなどを定めた答申をまとめた。答申では積極活用のための規制緩和を進めるべきだとする一方で、「文化財を公開することは文化財に負荷を掛けていることを踏まえて適切に対応する必要がある」とする提言も盛り込まれた。

佐藤美術館の立島恵学芸部長は、「モスマイトはお客さんの鑑賞を邪魔せず、紫外線カットといった作品保護もできる。相反すると考えられていた作品の保護と展示を両立できるのでは」と話す。「掛け軸や屏風などもろい古美術の展示にも有効だ」と期待を寄せている。

(映像報道部 鎌田倫子)

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