格好いいぞ、パラアスリート 写真モデルや漫画で活躍アイドルタレントと共演も、従来の障害者イメージを払拭

AKB48のメンバーがボッチャを体験するイベントには、ファン1000人が集結した(東京都江東区)

出版社より一足先にパラスポーツを取り上げる番組を16年、次々立ち上げたのがテレビ局だ。リオデジャネイロ・パラリンピック開催を契機としたもので、放送2年目の17年はファン層を広げようと新たな試みにチャレンジしている。

AKB48のメンバーとボッチャの試合

衛星放送のWOWOWは、国際パラリンピック委員会(IPC)と共同で制作したドキュメンタリー番組「WHO I AM」を16年秋から放映する。世界のトップパラアスリートを50分間にわたりじっくり掘り下げる内容。毎年8話、20年までの5年間で約40人を紹介する予定だ。障害を負った経緯は控えめに、競技を通して選手が輝いている姿を見せることに力点を置く。

WOWOWのドキュメンタリー「WHO I AM」のトークイベントに参加したパラ陸上オランダ代表のマールー・ファン・ライン選手(右から2人目=10月27日、東京都千代田区)

太田慎也プロデューサーが「放送がゴールではなくスタート」と17年から取り組んだのが、大学へ出向いて番組を見てもらう出張授業だ。パラスポーツの認知度を高めたい東京都との共同プロジェクトで、3月から早大、立教大、青山学院大などで実施する。

早大での国際開発援助の講義では、ボスニア紛争で障害を負ったシッティングバレーボールの男性アスリートと、女性の地位が低いイスラム圏で活躍する女性アーチェリー選手を紹介した。「映像がきれいでわかりやすいと大好評だった」と授業を担当した岩井雪乃准教授。学生からは「自分たちよりすごいことができる。かわいそうな障害者というイメージが払拭された」という感想が寄せられたという。

太田プロデューサーは「大人は障害者を見ると何かしなきゃと、自ら壁をつくってしまう。でも学生は単純にかっこいい、この選手に会いたいと思ってくれる。今の大学1年生が4年生になる20年に、オープンな気持ちで世界の選手を迎えてほしい」と、若者の「おもてなし力」に期待をかける。

フジテレビが関東ローカルで16年から放映している「PARA☆DO!」は17年11月、番組で取り上げた選手の言葉をまとめた書籍を出版した。「心に響く言葉が多いので、番組で流すだけでなく、文字の形にしたかった」と植村敦ゼネラルプロデューサー。

さらに様々な形でパラアスリートが登場するイベントも仕掛けた。8月には主催イベントのファッションショーに3人のパラ選手を呼び、モデルとしてランウエーを歩いてもらった。車いすの選手もいた。11月にはトヨタ自動車の協力を得て、同社の施設でAKB48のメンバーがボッチャの日本代表選手と試合をした。AKBファン約千人が集結、抽選でその半分が観覧したという。

植村プロデューサーは「パラスポーツと正面からいっても受け入れられない。面白いことをやって、気がついたらパラだったというアプローチがいい。そんな形でアイドルファンも取り込んでいければ」と話す。

障害者だから、パラスポーツだからと身構える必要はない。肩肘はらずに楽しんでパラスポーツに触れる。そこから「推しメン」ならぬ「推しスポ」を見つけてもらえればいいのだろう。

(摂待卓)

[日本経済新聞朝刊2017年12月14日付]