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白河桃子 すごい働き方革命

産業医が勧める上司像 理想は「キャバクラの店長」型 産業医・大室正志さんインタビュー(下)

2017/12/20

産業医の大室正志さんは「ストレスを与え、部下に最も嫌われるのが、キレるポイントが分からない上司。目指すべき理想の上司はキャバクラの店長」という。その真意は何か。前回の「過労自死を招く企業の構造 産業医が見た職場のリアル」に引き続き、お話を伺いました。

医療法人社団 同友会 産業医室勤務。産業医科大学医学部医学科卒業。都内の研修病院勤務を経て、産業医科大学産業医実務研修センター、ジョンソン・エンド・ジョンソン統括産業医を経験し現職。専門は産業医学実務(写真:吉村永、以下同)

■フラットな職場環境の落とし穴

白河 働き方改革などで労働環境が大きく変わる中、上司たちは多様な部下をマネジメントする上で、何に気を付ければいいのでしょうか。

大室 まずは期待値の調整です。僕は、人間関係による問題の大部分は「期待値」だと考えています。

例えば、月に行けないことに対して不自由を感じる人は、ほとんどいないじゃないですか。人は、最初から期待値の外にあるものには、ストレスを感じないんです。

今、「フラットな職場環境」をうたう企業が多くありますよね。そのワードを見て、学生たちは「本当にフルフラットなんだ」と受け取ります。ところが実際は違う。言語化していないところに真実があるのです。

劇作家の寺山修司は、「書を捨てよ、町へ出よう」と言いましたが、彼の家は本で潰れそうでした。言葉に出す部分というのは、自分に足りていない部分なのです。

白河桃子さん

つまり、「フラットな職場環境」をアピールする企業の多くは、「昭和時代の当社と比べて相対的にフラットになった」という意味なのです。本当にフルフラットだと捉えてしまった学生たちは、期待があった分、入社するとストレスになってしまいます。

だから上司は、まずは新入社員たちの期待値をうまく調整することが必要なんじゃないでしょうか。もちろん、やり方は注意しなければなりませんが。

白河 まず、部下に対しては比較対象を明示した上で発言したり、きちんと言語化をしなければならないわけですね。

大室先生は、「トリセツが分かりやすい上司や指示が的確な上司が、評価が高い。キレるポイントが分からない上司が最も部下にストレスを与える」と、著書で書いていらっしゃいましたね。

大室 子どもがAという行動をしたら、親はお尻をたたくとします。子どもは、お尻をたたかれる行為自体は、それほどショックなことではありません。ただ、子どもがAをしたら、親は昨日はニコニコしていたのに、今日はお尻をたたいたというように一貫していない場合が問題なのです。

つまり、親が情緒不安定で対処が気分によって異なりますと、子どもにとってはキレるポイントがよく分からず、何が正解か分からなくなってしまい、いつもおどおどするようになります。こうして、子どもも情緒不安定になるわけです。

だから、一見怖い上司であっても、「この人はこうすると怒る人なんだ」「こうすると評価してくれるんだ」ということが一貫していれば、部下は「信頼できる」と感じるわけです。

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