株価判定の尺度としてもう一つプロがよく用いるのがバフェット指標だ。1980年代から著名である米国の株式投資家、ウォーレン・バフェット氏が重視することで知られる。

株式市場の時価総額を、その国の名目国内総生産(GDP)で割って求める。企業の収益力を映す株価は長期的には、自国の経済力に見合った水準に近づくとの考え方から、この数値が100%を超えると割高のシグナルとされる。

米国では90年代末期のドットコム・バブル期に100%を大きく超え、日本ではリーマン危機前の06年前後に上回った(図)。足元では日米ともに120%近辺に高まっている。

注意信号を発していることになるが、留意点もある。企業が近年、国外で収益を稼ぐようになり、自国経済への依存度が低下。「かつてに比べると割高ラインが切り上がっている可能性が高い」(阿部氏)点を踏まえ、参考にしたい。

以上の指標は、株式売買の「結果」である株価に関するもの。これとは別に点検しておきたいのが、誰がどれだけ株式を売買していたかという「過程」だ。

それを端的に表すのが投資部門別売買動向。東京証券取引所が原則、毎週木曜日、法人や個人投資家ごとに前週分の売り越し・買い越しの結果を公表、月次データもある(図)。

海外勢動向も注目

プロが特に注目するのは海外投資家の動向だ。年金基金やヘッジファンドなどの海外勢は日本株の売買代金の約7割、保有額の約3割を占め、相場の流れを決定づけてきた。15年の中国ショック時には4カ月間で4兆円強を売り越し、最近の株高では10月に2兆2000億円を買い越した。

三菱UFJ国際投信の石川氏は「直近4週間の買越額か売越額が、累計1兆円を超えるようだと目先の相場基調が決まる」という。大和証券の石黒英之シニアストラテジストは「2週続けて、それまでと反対方向の売買になれば基調が変わる可能性がある」とみる。

12月7日発表分を見ると、海外勢は3週連続の売り越しとなった。持ち高調整の範囲内との見方もあるが、今後の動きに要注目。こうした指標を多角的に点検し、相場と向き合うことが大切になる。

(南毅)

[日本経済新聞朝刊2017年12月9日付]

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