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相続財産の名義変更 面倒な「戸籍の束」不要の証明法 手間は減るが、税申告には使えず

2017/12/16

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 相続が起こると、亡くなった人(被相続人)の財産の名義を、相続する人の名義に変える手続きが必要になります。そろえなければならない書類は多く、手間がかかります。その負担を少しでも減らそうと、全国の法務局(登記所)が5月末から始めたのが「法定相続情報証明制度」です。どんな仕組みなのでしょうか。

 名義変更の手続きを煩わしく感じる理由は二つあります。まず、被相続人が生まれてから死亡するまで、全ての戸籍謄本(除籍謄本含む)を集める必要があります。誰が法定相続人にあたるかを確定してからでないと法律上、遺産を分けることはできません。

 謄本は生前に本籍のあった全ての市区町村から集めます。何代もさかのぼって集めるとなると、「戸籍の束」といわれるほど枚数が増え、手数料(通常、戸籍謄本は1通450円、除籍謄本は750円)もかさみます。

■法務局、銀行、証券会社… 届け出先多く

 もう一つの理由は、名義変更の届け出先の多さです。不動産の名義を変更する際には戸籍の束は法務局(登記所)に提出します。預金であれば銀行、株式なら証券会社、自動車は運輸支局などと、財産の種類ごとに別々の場所に出さなければなりません。謄本を複数セット用意したり、使い回したりする必要があり、時間がかかっていました。

 これら二つのうち、後者の手間を減らすために始まったのが法定相続情報証明制度です。誰が法定相続人にあたるのかを、法務局が証明書にしてくれる仕組みです。

 証明書を申請するときはまず、集めた謄本を元に、被相続人と法定相続人の一覧図を作ります。それを謄本とともに法務局に提出。登記官がチェックし、内容が正しければ証明書にしてくれます。

 証明書は無料で何通でも発行してくれます。複数枚もらっておけば、手続き先が多くても同時に手続きできるため、従来よりも時間と費用がかからずに済むのです。

■発行枚数、半年間で20万枚

 法務省によると、証明書の発行枚数は制度開始後の半年間で約20万枚です。このペースだと年間40万~50万枚に達しそうです。一人で複数枚を受け取るケースが多く、年間の利用者は10万~20万人になる計算です。金融機関でも「証明書を使った手続きが増えている」(三井住友銀行)といいます。

 証明書は名義変更のほかにも使い道があります。例えば家庭裁判所で遺産分割調停や相続放棄の手続きをする際、戸除籍謄本に代えて利用するケースです。

 注意点もあります。証明書は、被相続人の死亡時の法定相続人を示すものです。後に相続放棄があった場合は、証明書の他に、家裁による相続放棄の証明書なども提出する必要があります。

■税申告には使えず

 証明書はいまのところ相続税の申告の添付書類としては使えません。法令で指定されていないほか、様式が簡単すぎるからです。相続税では被相続人に実子がいる場合、法定相続人に含める養子の数を制限しています。

 ところが現在の証明書の様式では実子、養子を区別せずに「子」として表記します。これでは使いづらいので税務署では受け付けていません。ただ財務省では「2018年度の税制改正で認められれば、受け付け開始に向け法務省と協議する」としています。

[日本経済新聞朝刊2017年12月9日付]

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