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「大人の発達障害」どう対処? 自己診断は禁物

日経Gooday

2018/1/22

発達障害は生まれつきの障害なので、大人になって新たに発症することはありません。大人になってから発達障害と診断されるのは、大人になるまで気がつかなかったということです。

子どもの頃は成長過程の一つと受け止められ、周囲もあまり気にしていなかったのに、卒業・就職し、社会に出て仕事を始めるようになってから不適応が目立ち始め、自分自身も周囲も違和感を覚えて受診に至ることが多いです。子どもの頃は周りの協力も得て何とかこなせたことも、大人になると誰も助けてくれませんので、仕事上でトラブルになったり、能力を否定されることが重なり、ストレスレベルが一気に上がるのです。

例えば、最近受診された新入社員のAさんの例を挙げましょう。Aさんには、「相手の話し声は聞こえるが、話に集中できないので内容がなかなか頭に残らない」という特性がありました。内容が頭に残らないため、言われた通りの仕事ができず、上司から「ちゃんと話を聞いているのか。なぜもっと集中できないのか」と注意され、「もしかして発達障害かもしれないから病院へ行きなさい」と言われ、受診に至りました。この方は、診察の結果、ADHDと診断されました。

その他、受診時の訴えとして多いのは、「対人関係が苦手で周囲になじめない」という悩みです。思ったことをすぐ口に出してしまう、時間管理が苦手で遅刻をしたり納期を守れない、ケアレスミスを繰り返す、書類を紛失する……といった、業務上の問題も目立ちます。仕事中に電話に出たり、新たな指示を受けたりすると混乱するなど、複数の仕事を同時にこなせない人も多くいます。

けれども、発達障害を持っていても、適職につくことで実力を発揮し、成功する人も少なくありません。物理学者のアインシュタインや哲学者のウィトゲンシュタイン、発明王のトーマス・エジソンなど、天才と呼ばれる人も発達障害だったのではないかと言われています。

例えばASDなら、自分が強い興味を持っている研究に従事し、その分野ではずば抜けた才能を持つ人が多くいます。ADHDの場合は、デザイナー、作家など芸術関係の仕事が適職だといわれます。他人とのコミュニケーションや細かい時間管理をあまり必要とせず、自分のペースでできる仕事であれば、能力を存分に発揮できるようです。

いずれにしても、発達障害の「自己診断」は禁物です。当院の発達障害の専門外来には「私は発達障害だと思うので診断してほしい」と言う人がたくさん受診されますが、発達障害と診断されるのはそのうちの3割程度です。インターネットには、「仕事がつまらない」「対人関係がうまくいかない」という悩みをすぐにASDなどの発達障害に結びつけるような情報も溢れていますが、実際に専門の医師の診察を受けてみると、発達障害に該当しないことが多いです。あまり情報に振り回されないようにしてください。

製薬会社のWebサイトには、セルフチェックリストが掲載されているものもあるので[注2]、まずはそちらを試してから受診してもいいでしょう。

■グループ療法で訓練を重ねて改善

――専門外来で、発達障害はどのように診断されるのですか。

[注2] 日本イーライリリーWebサイト「大人のADHD症状チェックリスト」など。

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