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「大人の発達障害」どう対処? 自己診断は禁物

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2018/1/22

大人になって社会に出てから発達障害に気がつくことも多い(C)Lightwave Stock Media-123rf
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話がかみ合わない、仕事の効率が悪い、単純ミスが多い……。こうした理由で、大人になってから、会社やプライベートでトラブルになることが多く、生きづらさを感じる、もしくは上司や部下がこのタイプで仕事がしづらいといったことはないだろうか。近年、大人になってから発覚する「大人の発達障害」が注目されている。

障害といっても、特性をよく理解し、配慮することで、すぐれたパフォーマンスを発揮することもある。発達障害の中でも特に大人になってから多く見られる「注意欠如多動性障害(ADHD)」や「自閉症スペクトラム障害(ASD)」の特徴や治療、付き合い方のポイントについて、昭和大学附属烏山病院病院長の岩波明氏に聞いた。

■「大人になってから新たに発症する発達障害」はない

――一口に発達障害といってもさまざまな種類や症状があると思いますが、定義について教えてください。

発達障害とは、「生まれつき脳機能に何らかの偏りがあり、精神的あるいは行動的な特有の症状を示すもの」と定義されています。その症状は実に多様で、分類もさまざまです。大人の発達障害として特に多く見られるのは図の2つです。1つめは、「自閉症スペクトラム障害[注1]」(Autism Spectrum Disorder、以下ASD)、そしてもう1つが「注意欠如多動性障害」(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder、以下ADHD)です。

出典:岩波明 著『発達障害』p.23(文藝春秋、2017年)

まずはASDについてお話ししましょう。ASDは、社会的コミュニケーションの障害を生じる発達障害の総称で、いわゆる昔ながらの「自閉症」と、「アスペルガー症候群」などが含まれます。ASDの有病率は、小児も含めて100人に1人いるかどうか、0.5~1%と推測されています。大きな特徴としては、対人関係や社会性における不適応、俗にいう「空気が読めない」という症状です。人との距離感がつかめず、人付き合いが苦手で、生涯友人が1人もいないという人も珍しくありません。

特定の物事に極端に強いこだわりを持つこともASDの特徴です。例えば子どもの頃、男の子ならトラクターのような重機や電車に関心を持つ子が多いのですが、ASDの子どもは、好きな電車を見つけると、何時間でもそこに居続けるという執着を示します。この傾向は、物だけでなく行動も同様で、いつもの行動パターン通りに物事が進まないと気が済まないなど、強いこだわりがあります。興味のあることに対しての集中力はずば抜けて高いことも知られています。ASDの代表例であるアスペルガー症候群は、対人関係が苦手で、他人の感情や非言語によるメッセージをくみ取ることが困難な発達障害です。知的能力や言語発達の障害を伴わないので、「ちょっと変わった人」と思われることが多いのが特徴です。

一方、ADHDは、集中力や注意力の障害、衝動性、多動性(思い立つと後先かまわずすぐに行動に出てしまう)を特徴とする障害で、そのために、社会的な活動や学業の機能に支障をきたします。発達障害といえばASDのほうがよく知られていますが、ADHDの有病率は3~5%と、ASDの約5倍に上ります。

――大人になってから発達障害を発症するのはなぜでしょうか。

[注1] スペクトラム(Spectrum)は、連続体、分布範囲という意味の英語。軽症から重症まで、多様な症状が重なり合う連続体だとする考え方。

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