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日本の大企業は、経営戦略の立案にコンサルティング会社を活用するようになり、それまでのKKD(勘と経験と度胸)マネジメントにサイエンス(科学的手法)が加わった。一方で、現在でも昔ながらのKKDの一部が鍵となって成長しているベンチャー企業は多数ある。HR(ヒューマンリソース)テクノロジーや人工知能(AI)など、ITが経営を進化させる時代だからこそ、アート(直観)、サイエンス、クラフト(経験)の3つをうまく融合し、活用できる企業が存在感を増していくはずだ。

アートとサイエンスをアウフヘーベンする!?

少し昔話にお付き合いください。2004年、リクルートグループの会社の一つとして、リクルートマネジメントソリューションズが発足しました。組織の人材育成・研修・組織開発をサポートする会社です。その初代社長に就いたのは、当時リクルートの取締役だったKさん。口癖はドイツ語の「アウフヘーベン」でした。日本語では「止揚」の意味です。

ドイツの哲学者、ヘーゲルが提唱したもので、対立する2つの概念を捨て去る、あるいは一方に偏るのでではなく、両者の積極的な部分を加えて、高いレベルのものをつくり出すということで、「弁証法」あるいは「弁証法的発展」として知られています。そのステップを「正反合」といいます。

Kさんは、「マネジメントとは、アートとサイエンスをアウフヘーベンすることだ」といつも言っていました。カタカナばかりで「?」と思われるかもしれませんが、一見矛盾することを統合し価値を見いだすことこそがマネジメントの要諦である、ということを伝えたかったのだと思います。

マネジャー候補の部下に対してKさんは、「AかBか明白な問題は、スタッフが自ら判断できます。マネジャーの役割は、AかBか選べない問題を解くことにあります。当然難易度は高いですが、それでもマネジャーになりますか」と確認していました。あなただったら、この問いかけに何と答えるでしょうか。AかBか選べない問題とは、そもそも何なのでしょうか。

Kさんがマネジャーに求めていた「アートとサイエンスのアウフヘーベン」。直観と論理や科学を統合して価値を見いだすアウフヘーベンは、実際にどのような場合で必要になるのでしょうか。

例えば、

●短期的な業績拡大と中長期的な成長のための投資
●既存事業・商品のリピート営業と新規事業・商品の拡販
●大口顧客を実績のある社員に任せるのか、人材育成のために新人に担当させるのか
●既存ミッションの目標達成と労働時間削減
●目の前の仕事を進めることと将来のための人材育成
●中途人材の即戦力採用と新卒人材のポテンシャル採用

などが、分かりやすい例といえるかもしれません。十分なリソースがあれば、両方実現できるのですが、現実的にはそんなケースはほとんどありません。

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