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カープ視聴率は平均3割 プロ野球、地方で元気な理由 「楽しませる技」に磨き、DeNAは会社帰りにビアガーデンや花火

2017/12/22 日経MJ

横浜は選手寮食堂のメニューを市内の小学校の給食で提供する

「勝ち負けにそれほどこだわらず、夜空の下でおいしいビールを飲んで試合を楽しみたい」。11年にベイスターズを買収したディー・エヌ・エー(DeNA)はまず、顧客を理解するために徹底的なマーケティング調査を実施。球場に頻繁に足を運んでいたのは会社帰りに飲みに行くアクティブな20~30代男女だった。

ターゲットに合わせビアガーデンを開設したり、花火などの演出を強化。オリジナル醸造ビール「ベイスターズラガー」や選手寮の食堂と同じレシピの「青星寮カレー」など独自開発の商品を充実し「コト」消費志向を取り込んできた。

青星寮カレーは横浜市内の学校の給食で振る舞うなど、将来のファンとなる子どもたちにも力を入れる。15年から県内全小学校、幼稚園、保育園にチームの帽子を無料で配布。横浜市の30代男性は「子供が幼稚園で帽子をもらってきたのを機にベイスターズを応援するようになった」。

女性が観戦しやすいスタジアムや女性向けのグッズにいち早く力を入れ、「カープ女子」が全国区となった広島の本拠地、マツダスタジアム。「選手もあまり知らないけど、球場の雰囲気がいいからよく来る」。年数回観戦に来るという30代の女性はこう話す。

観戦者以外でも楽しめるボールパーク化を進める楽天は16年、本拠地のKoboパーク宮城(仙台市)に日本の球場で初めて観覧車を完成した。観戦チケットの入手が困難になるチームも目立ち始めるなか、17年は新たにチケットの価格変動制を導入。人気度や座席の種類に応じ値段を上下させる。主催の全71試合中34試合が満員となった。

マーケティングに目覚めた球界の快走が地域に活気を与えている。

■球界再編きっかけに改革が加速

楽天は本拠地のkoboパーク宮城に、日本の野球場で初となる観覧車を設置した(楽天提供)

プロ野球の転機となったのが04年に火が付いた球界再編問題だ。人気の高い巨人戦の観客数や放映権料に恵まれたセ・リーグと比べ、低迷するパ・リーグでは近畿日本鉄道が球団運営から撤退。近鉄とオリックスの合併を巡る混乱や球界初のスト、新規参入を巡る楽天と旧ライブドアの綱引きなど混乱が生じた。

スター選手の大リーグ流出も相次ぎ、ファン離れに危機感を強めたセ・パ各球団は改革へカジを切った。ホームタウンと密着するサッカー・Jリーグに学ぶかのように地域の新たなファン獲得に力を入れ、ユニホーム配布などイベントや女性を意識したオリジナルグッズの充実にも努めた。

肝心の観戦席を過ごしやすくするほか、球場内外でバーベキューが楽しめるようにしする球団も増加。楽天は観覧車やメリーゴーラウンドを併設するなど、家族連れが観戦以外でも訪れて楽しめるように、米国流の球場の「ボールパーク」化の動きが広がる。

日ハムはホテルや大型商業施設と一体の「ボールパーク」型の新球場を計画。DeNAは地域と、スポーツを柱とした街づくりにも取り組む。ファンとビジネスの裾野を広げる球場の改革にも加速がついている。

(篤田聡志)

[日経MJ2017年12月8日付]

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