マネー研究所

定年楽園への扉

定年後の再雇用 うまくいく人、ダメな人 経済コラムニスト 大江英樹

2017/12/28

PIXTA

 現在はほとんどの企業において、60歳で定年を迎えた後に再雇用で働ける制度が導入されています。2013年の高年齢者雇用安定法の改正により、企業は(1)再雇用(2)定年延長(3)定年廃止――のいずれかで社員の雇用を延ばすことが義務付けられました。これにより、シニア社員は希望すれば少なくとも65歳までは働けるようになったのです。

 ただ、実際には(2)や(3)の企業は少なく、ほとんどの企業では(1)を採用しています。再雇用については私が知る限り、必ずしもうまくいっていないケースが少なくないようです。では一体どんな人がうまくいき、どんな人がうまくいかないのでしょうか。

■定年前の仕事と変わらなければうまくいく

 まずはうまくいくケースです。これは定年前の仕事と内容が全く変わらない場合です。例えば、技能職で工場や現場で働いている人はほぼ同じ仕事を続けることになります。役付きでなかった場合も、部下や組織を管理する仕事ではありませんから、再雇用でも全く同じ仕事が続けられるでしょう。

 仮に役付きであったとしても、それほど高い地位でなければ管理業務のウエートは低いですから、再雇用後はむしろ純粋に自分の業務に打ち込めるかもしれません。そんな形であればやりがいが大きくなるケースもあります。

 もちろん、再雇用後は大幅に給料が下がるのが普通です。中には「同じ仕事をしているのになぜこんなに給料を減らされるのだ」と不満に思う人もいるでしょう。でも、給料が下がるのは仕方がないことです。多くの人は再雇用後は給料よりも働きがいを重んじるものです。技能職であれば若い世代に技術を伝承するという大切な仕事に生きがいを感じるでしょう。

■実務を知らない管理職はうまくいかない

 これに対して、うまくいかないケースは管理職だった人たちです。それも実務を全くやらず、部下に指示だけをするという純粋なマネジメント業務をやってきた人たちです。こういう人たちは再雇用後は立場が全く変わります。悲しい現実ですが、ほとんどの企業では再雇用で働く場合、マネジメントの仕事を任せられることはないといっていいでしょう。

 つまり、再雇用では実務を知らなければ仕事はないのです。かといって、それまで長い間実務をやってこなかったわけですから、どうやっていいかわからない。意識だけはまだ管理職のままという場合が多い。ここに摩擦が生じてくるのです。

 こうした人が定年前と同じ職場で働いていると厄介です。日本の多くの企業では、周りが気を使うことになるでしょう。実務ができなければ、はっきりいって邪魔なだけの存在です。

 では管理職だった人は一体どうすればいいのでしょうか。結論をいえば、再雇用で働く場合は「転職で再就職するのだ」というぐらいの気持ちを持っておくことです。

■再雇用を選ぶ場合は現役時代から備える

 しかもこれは定年時に考えたのでは遅いでしょう。定年になる数年前から、再雇用で働くための必要な知識や技能について新たに勉強したり、覚えたりすることが大切です。反省すべきことに私自身、現役時代は管理職だったのですが、そういうことをあまりやりませんでした。再雇用では会社の役に立つこともできず、早々に辞めてしまいました。

 もちろん、私の場合は起業しようという気持ちもありましたから、再雇用に真剣に向き合えなかったのかもしれません。でも60歳以降も会社に残って、充実した仕事を続けたいと考えるのであれば、できるだけ早くからそのための対策を考えた方がいいと思います。あなたが現在管理職ならなおさらです。

「定年楽園への扉」は隔週木曜更新です。次回は1月11日付の予定です。
大江英樹
 野村証券で確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。著書に「定年男子 定年女子 45歳から始める『金持ち老後』入門!」(共著、日経BP)など。http://www.officelibertas.co.jp/

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL