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感動の名作映画次々 「家族全員泣く」ことはできたか

立川吉笑

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NIKKEI STYLE

立川談笑一門でのまくら投げ。師匠からいただいた今週のお題は「映画」。今週も次の師匠まで無事にまくらを届けたい。

師匠に弟子入りした2010年からお正月休みは家族と映画を見ている。

京都の実家に、父ちゃん、母ちゃん、爺(じい)ちゃん、いとこのかおり姉ちゃん、弟、なぜか隣に住んでいるおっちゃんの杉本さん、そして僕という7人が集まり、狭いリビングに肩を寄せ合いながら、みんなで映画を見る。

映画は決まって父ちゃんが借りてくる。僕たちのリクエストはアクション大作だったり、ホラー映画だったりするのだけど、「新年にこそ涙を流してスッキリしよう」という父ちゃんの謎な思惑により、毎年「全米が泣いた!」と称される感動的な映画ばかり借りてくる。

父ちゃんとしては、皆で同じ映画を見てそして皆で泣く、という一体感を演出したいらしいのだけど、人の感性というのは十人十色。エンドロールが終わり部屋を明るくしたときにそろって皆が泣いている、という状況は奇跡に近い。

以下はこれまで我が家で鑑賞した映画とみんなの反応だ。はたして奇跡は起きたのか。

1回目(2010年正月)

『ショーシャンクの空に』(1994年公開、フランク・ダラボン監督)

冤罪(えんざい)によって投獄された銀行員が腐敗した刑務所の中でも希望を捨てず生き抜いていくヒューマンドラマは、全米と父ちゃんと母ちゃんと爺ちゃんとかおり姉ちゃんと僕を泣かせたけど、弟と杉本のおっちゃんを泣かすことはできなかった。

2回目(11年正月)

『ライフ・イズ・ビューティフル』(1997年公開、ロベルト・ベニーニ監督)

第2次世界大戦下のユダヤ人に対するひどい迫害を、ユダヤ系イタリア人の親子の視点から描いた作品。全米と父ちゃんと母ちゃんと爺ちゃんとかおり姉ちゃんと僕を泣かせたけど、再び弟と杉本のおっちゃんは涙を見せなかった。

※この時点で、「弟」と「杉本のおっちゃん」の涙腺が異常なのでは、という説が浮上。

3回目(12年正月)

『火垂るの墓』(1988年公開、高畑勲監督)

ご存じスタジオジブリが制作した第2次世界大戦時の大空襲下で懸命に生きる兄妹を描いたアニメ映画。「アニメだったら弟も楽しめるんじゃないか?」という父ちゃんの狙い通り、弟を泣かせることに成功し、父ちゃんと母ちゃんとかおり姉ちゃんと弟と僕を泣かせたけど、爺ちゃんと杉本のおっちゃんを泣かせることはできなかった。全米の多くの人はおそらくこの映画を見ていないことだろう。

※爺ちゃんは感情移入し過ぎたようで見ている間ずっと「あれはワシや!あれはワシや」と叫び続ける興奮状態で、泣くには至らなかったようだ。

4回目(13年正月)

『アイ・アム・サム』(01年公開、ジェシー・ネルソン監督)

ショーン・ペン演じる知的ハンディキャップを持つ父親と、幼い娘との純粋な愛をビートルズの曲とともに描いたドラマ映画は、全米と父ちゃんと母ちゃんと爺ちゃんとついに杉本のおっちゃんを泣かせ、かおり姉ちゃんと弟と僕を号泣させ、一度は同じ映画を見て全員で同時に泣くという目標を達成したかに見えた。しかし後に杉本のおっちゃんが泣いたのは11年に見た『ライフ・イズ・ビューティフル』を思い出したためと発覚したため惜しくも記録達成ならず。

※以後、杉本のおっちゃんの思い出し泣きに苦しめられる展開になるとはこのとき誰も思っていなかった。

5回目(14年正月)

『アポロ13』(1995年公開、ロン・ハワード監督)

アポロ13号爆発事故の実話に基づく「事実は小説よりも奇なり」を地でいく感動大作。全米と父ちゃんと母ちゃんと爺ちゃんとかおり姉ちゃんと弟と杉本のおっちゃんと僕を泣かせたように見えたけど、後に杉本のおっちゃんが泣いたのは前半は2010年に見た『ショーシャンクの空に』を思い出したためであり、後半は1996年夏の甲子園決勝で延長十回裏に松山商業の矢野勝嗣くんが見せた奇跡のバックホームを思い出したためと判明し、記録達成ならず。

※映画鑑賞後、その奇跡のバックホームってどんなシーンなのか気になった僕たちはユーチューブで該当のシーンを見た。確かに感動的で全員が泣いたけど、父ちゃんが選んだ映画じゃないからもちろん無効。

6回目(15年正月)

『HACHI 約束の犬』(09年公開、ラッセ・ハルストレム監督)

1987年に公開された日本映画『ハチ公物語』のリメイク作品は、全米と父ちゃんと母ちゃんと杉本のおっちゃんを泣かせたけど、爺ちゃんを笑わせ、かおり姉ちゃんを喜ばせ、弟を憂鬱にし、僕は慚愧(ざんき)の念に堪えなくなった。相変わらず杉本のおっちゃんは映画を見て泣いたのではなく、さらに今回は思い出し泣きですらなかった。なぜおっちゃんが泣いたかというと、今は高校生の娘さんがいずれ結婚して離れて暮らすようになるのだなぁということを思ったら泣けてきたとのこと。まさかの未来形の泣き。

7回目(16年正月)

『ショーシャンクの空に』

10年に引き続き、この年は2度目の『ショーシャンクの空に』を見た。前回、全米と父ちゃんと母ちゃんと爺ちゃんとかおり姉ちゃんと僕を泣かせたけど、弟と杉本のおっちゃんは泣かすことができなかった作品は、今回も父ちゃんと母ちゃんと爺ちゃんとかおり姉ちゃんと僕を泣かせたけど、弟と杉本のおっちゃんはやはり泣かすことはできなかった。

※『ショーシャンクの空に』はなぜか杉本のおっちゃんの思い出し泣きを抑止する力があると新たな発見。

8回目(17年正月)

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997年公開、ガス・ヴァン・サント監督)

天才的な頭脳を持ちながらも幼い頃に負ったトラウマから逃れられない一人の青年と、最愛の妻に先立たれて失意にあえぐ心理学者との心の交流を描いたヒューマンドラマは、全米と父ちゃんと母ちゃんを泣かせたけど、爺ちゃんを喜色満面(顔中に喜びの表情が満ち満ちているさま)させ、かおり姉ちゃんの留飲を下げ(心配事やわだかまりが解消されて気持ちが楽になること)、弟を周章ろうばい(非常に慌てること)させ、杉本のおっちゃんを欣喜雀躍(きんきじゃくやく=雀が飛び跳ねるように大喜びすること)させ、僕を三拝九拝(何度も頭を下げて、人に頼みごとをしたり、敬意を表したりすること)させた。

※杉本のおっちゃんが欣喜雀躍したのはこの作品を見たからじゃなく、娘さんが指定校推薦で志望大学に合格されたからだと後に発覚。また、これまでずっと母ちゃんが泣いていたのは、映画を見たからではなく、映画を見て泣いている父ちゃんを見たことによる「もらい泣き」だと判明した。

間もなく17年が終わり18年になる。このお正月も父ちゃんから呼ばれたから実家に帰って皆で映画を見るけど、今年も全員が泣くことはないだろう。甲子園の奇跡のバックホームが映画化されれば、ひょっとするとひょっとするかもしれないから、これを読んでおられる映画関係者の方にはぜひ前向きに検討していただきたいと思うのだが。

立川吉笑
 本名、人羅真樹(ひとら・まさき)。1984年6月27日生まれ、京都市出身。180cm76kg。京都教育大学教育学部数学科教育専攻中退。2010年11月、立川談笑に入門。12年04月、二ツ目に昇進。出囃子(でばやし)は東京節(パイのパイのパイ)。立川談笑一門会やユーロライブ(東京・渋谷)での落語会のほか、『デザインあ』(NHKEテレ)のコーナー「たぬき師匠」でレギュラーを務めたり、水道橋博士のメルマ旬報で「立川吉笑の『現在落語論』」を連載したり、多彩な才能を発揮する。

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