仕事が原因のうつ病が増加傾向 自殺の9割以上は男性知っておきたい過労死の実態と防止策(中)

日経Gooday

精神障害の労災認定でも、以下の3つの要件を満たすことが必要です[注2]

(1)認定基準の対象となる精神障害を発病していること

(2)認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6カ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること

(3)業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

(1)の認定基準の対象となる精神障害は、ICD-10(国際疾病分類第10回修正版)第5章の「精神および行動の障害」分類に基づいて判断されます。(2)の業務による強い心理的負荷は、「業務による心理的負荷評価表」に基づき、極度の心理的負荷や長時間労働が認められる「特別な出来事」のほか、「具体的な出来事」の強度によって検討されます。公正かつ客観的に評価するため、本人だけでなく、職場の上司や同僚などへのヒアリングも行われます。

具体的な出来事は、「仕事の失敗、過重な責任の発生等」「対人関係」など6つの類型に分かれた36項目がありますが、男性では「恒常的な長時間労働」、女性では「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が最も多く、女性では「セクシャルハラスメントを受けた」が多いのも特徴です。ほかに「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」や「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」というケースも男女に共通して多く見られます。

精神障害を発症して労災認定を受けた人の調査データをもとに、発症に影響を与えた業務の負荷要因について集計したもの。労働安全衛生総合研究所過労死等調査研究センター「平成28年度過労死等の実態解明と防止対策に関する総合的な労働安全衛生研究」より

◇  ◇  ◇

仕事が原因のうつなどの精神障害や自殺が増えていること、その背景には恒常的な長時間労働や事故・災害への遭遇、セクハラ、いじめなどがあることは分かった。では、もし自分が、あるいは自分の身近な人が同じような状況にあるとき、私たちはどう行動すればいいのだろうか。それについては最終回で紹介する。

※前回の記事は「過労による突然死 40~50代男性がリスク大

[注2]厚生労働省「精神障害の労災認定」

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120215-01.pdf

吉川徹さん
労働安全衛生総合研究所 過労死等調査研究センター統括研究員。1996年産業医科大学医学部卒業。2015年4月から労働安全衛生総合研究所国際情報・研究振興センター上席研究員、労働災害調査分析センター センター長代理、過労死等調査研究センターを併任。2017年4月から現職。専門は国際保健学、産業安全保健学。過労死等事案の分析や、過労死等予防のための職場環境改善の研究などを行う。

(ライター 田村知子)

医療・健康に関する確かな情報をお届けする有料会員制WEBマガジン!

『日経Gooday』(日本経済新聞社、日経BP社)は、医療・健康に関する確かな情報を「WEBマガジン」でお届けするほか、電話1本で体の不安にお答えする「電話相談24」や信頼できる名医・専門家をご紹介するサービス「ベストドクターズ(R)」も提供。無料でお読みいただける記事やコラムもたくさんご用意しております!ぜひ、お気軽にサイトにお越しください。


ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント
注目記事
ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント