巨大なメディアであることの強みはあらゆるところで発揮される。
「たとえばAmazon.co.jpでドラえもんのお弁当箱を購入された場合、バナー広告でドラえもんのテレビ番組がプライム・ビデオで視聴できることをお知らせできます。Amazonのお客様に対して、プライム・ビデオのコンテンツをご紹介できる。そこがAmazonの素晴らしいところだと思います」(ファレルさん)
Amazonで人気の作品なら新作も
ユーザーが実際に目にするプロモーションに加え、ユーザーの行動を分析した作品選びもAmazonならでは。Amazon内では日々膨大な検索が行われているが、そのデータの分析結果などからプライム・ビデオの作品制作、選択が行われている。

「Amazonで販売されているDVDパッケージに関して、検索が増えてきている作品があれば、プライム・ビデオで提供することもありえます。Amazonオリジナル作品『仮面ライダーアマゾンズ』については、2015年9月のプライム・ビデオ提供開始時に『仮面ライダー』シリーズを配信したところ人気があるということが分かりました。そんなとき、非常に人気のあるこのブランドでオリジナルシリーズの制作をしないかと東映さんよりお話をもちかけられたのです」
ECサイトに付属するサービスという考えではなく、巨大メディアとして、顧客に寄り添ったサービスを提供しようと考えるAmazon。作品視聴だけでなく、本や日用品などの購入、行動パターンの分析により、趣味や趣向に沿ったレコメンデーションが期待できる。
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一つの素晴らしい作品をきちんと紹介し、技術的な視聴体験にもこだわるNetflix、購入履歴などを分析しながら、ユーザーが関心のある動画を提供していこうと考えるAmazonプライム・ビデオ。同じ「動画配信サービス」でも、ユーザー獲得に関するアプローチが異なることが見えてくる。
第2回はGYAO!とAbemaTVを取り上げる。無料で見られることを武器にユニークな番組配信を展開する2社の戦略とは?
(上) お気に入りの動画配信は? Netflix 対 Amazon
(中) 同じ無料動画でも異なる個性 AbemaTV 対 GYAO!
(下) 動画配信激戦、2018年も 独自番組さらに強化へ
エディター兼プランナー、ライター。『キネマ旬報』『VARIETY JAPAN』編集長を経て、リサーチからあらゆる「ものづくり」までを行う(株)アヴァンティ・プラスを設立。
河西隆之
エディター兼ライター。アヴァンティ・プラス所属。1978年東京都生まれ。デジタル業界、エンターテインメント業界等のリサーチ、執筆を手がける。共著に「映画の間取り」(扶桑社)。