目元や口元がカサつく、顔全体がつっぱる感じがするという人は、潤い不足。まずは洗顔法の見直しから始めよう。「まずはクレンジングの後に洗顔料で洗う『W洗顔』をやめる。朝は洗顔料なしで洗う。こすらず、手で優しく洗う。これで肌がどう変化するか、試してみて」と東邦大学医療センター大森病院皮膚科の関東裕美臨床教授。こすりすぎると乾燥を助長し、色素沈着も招くという。

メイク落としもシートでふき取るより、オイルクレンジングの方が乾燥しにくい。オイルは自分の肌に合ったものでいいが、関東臨床教授のお薦めは薬局で買える「局方オリブ油」だ。精製されているので食用のものより純度が高い。「皮膚科では、やけどの処置治療に用いる。刺激を与えずに汚れを落とし、肌も潤う」(関東臨床教授)。もちろん、体の保湿に使ってもいい。入浴後、体がまだ多少濡れているときに塗るとなじみがいい。

ただ、肌の状態は日々変わる。汗をかいたり、月経前で皮脂量が増えたりするときはW洗顔もOK。「温湿度環境、体調、食事、月経周期、年齢などで肌は常に変わっている。要は自分の肌の状態を知り、それに合わせたスキンケアをすること。年齢が上がるほど皮膚の適応力は低下するので、正しいケアがますます必要」と関東臨床教授。どんなときに肌トラブルが起こるか、「肌日記」をつけてみると変化がわかりやすいという。
なお日差しが弱い冬も、肌を守るUVケアが必要。日焼け止めのSPFは30以下で十分という。「それより高いと、冬は肌が乾燥してしまうこともある。日中活動するときには塗り直しが理想的」(関東臨床教授)。
乾燥対策は万全だが、ニキビや赤みが気になるという人は、過剰保湿を疑ってみよう。とろっとした化粧水、美容液、乳液、クリーム、オイル、さらには保湿効果の高い下地クリーム……と、塗り重ねていないだろうか。「心当たりがあれば、まずはオイルや美容液をやめて、様子を見る。引き算のスキンケアを」と、ひふのクリニック人形町の上出(かみで)良一院長は話す。

また、保温効果の高い下着を常用している人は、汗や皮脂の分泌が増えやすい。外は寒くても、屋内は汗をかくほど暖房が効いていることも多い。「マラセチア菌は高温多湿で脂の多い環境を好む。重ね着などで上手に体温調節を。アトピー性皮膚炎の人も、保温下着で温まりすぎてかゆみが増すことがあるので気をつけて」と上出院長はアドバイスする。


(ライター 佐田節子)
[日経ヘルス2018年1月号の記事を再構成]