個性派キャリーケース スマホ充電や出し入れに一工夫
特集 年末年始の旅行に役立つトラベルグッズ(上)
今年も残すところあとわずか。年末年始は帰省や海外旅行など、遠出する人も多いだろう。そんなトラベルシーンで役立つ注目アイテムを3回にわたりピックアップする。第1回は、旅行や出張に欠かせないキャリーケース。今、買い替えるなら、他のモデルにはない、プラスαを持つ最新モデルが狙い目だ。
1人1台の時代、多様化するニーズ
ひと昔前までは、キャリーケースは海外旅行用に、一家に1台あれば十分だった。しかし現在は、国内出張や国内旅行にも用いられるようになり、「1人1台」の時代になってきている。各個人で目的や用途によって求める機能が異なるため、それに応じるカタチでキャリーケースも多様化。さまざまな機能(プラスα機能)を持つモデルが続々と登場し、人気を集めている。
国内ラゲージメーカーの大手、エースが手がけるブランド「プロテカ」では、4方向開閉や2輪タテ走行、キャスターストッパーなどプラスα機能を搭載したキャリーケースを多数展開。そのどれもが好評だと、同社広報の山田絢音氏は話す。
「プロテカでは2010年以降、プラスα機能を搭載したキャリーケースを販売していますが、販売実績は前年比120%で推移。小型のキャリーケースがけん引するカタチで、全体的に好調に推移しています」(山田氏)
このようにプラスα機能モデルが注目されるようになったのは、キャリーケース市場が拡大したことも大きい。「1人1台」になったからこそ、数多くのキャリーケースが製造・販売され、改良が施されていった。その結果、これまでキャリーケースを選ぶポイントだった軽さ、丈夫さ、走行性といった機能に、そこまで各社の大きな違いがなくなったことも要因ではないだろうか。
とはいえ、ただ機能を増やすだけであれば、いくらでも搭載できる。自分に必要のない機能を持つキャリーケースを選んでも仕方がない。
「プラスαで搭載された機能性も、一見すると非常に高機能のようでも、使用シーンを想定せず開発されたものだと、動作や所作がスマートではない場合も。自身の行動パターンやキャリーケースに求めるポイントを明確にして、日ごろキャリーケースに持つ不満点が解消できるかどうかを見極めて選んでほしいと思います」(山田氏)
そこで今回は、異なるプラスαの魅力を持つキャリーケースを3つ紹介する。自身のトラベルシーンに適した機能であれば、旅行がもっと快適になることは間違いないだろう。
プロテカ/スマホとの親和性を重視
エースを代表するトラベルバッグブランドのプロテカからは、なんとスマートフォン(スマホ)を充電できるキャリーケースが登場。生活に不可欠なスマホとの親和性が高いため、出張や旅行がより快適になるはずだ。
フロントポケットに、スマホを約2回フル充電できるモバイルバッテリーを搭載。そして外装にスマホ充電用のコードリールユニットを設けている。このコード(マイクロUSB)は最大100cm伸びるため、充電しながらスマホの操作が可能(iPhoneの場合は別売りのライトニング変換アダプターが必要)。充電しながら移動するのにはやや短いが、これは安全面を考慮して、あえて長さを制限したそうだ。
また、旅行先でスマホと向き合うシーンで多いのが、空港の出発ロビーでの搭乗待ち。そんなときにスマホを立てかけて動画などを見られるように、本体上部にスタンド機能を備えているのも見逃せない。
スマホ関連で注目がトラッキング機能。Bluetoothトラッカーの「TrackR」を内蔵しており、スマホとキャリーケースが30m以上離れると相互にアラートで知らせてくれる。これはスマホの置き忘れの際にも作動するので、キャリーケースとスマホ双方の紛失を防止できる。
さらにTrackRはクラウドロケート機能も搭載。自分のキャリーケースがBluetoothの通信範囲外の場所にあっても、別のTrackRを持つユーザーが近くにくれば、自分のキャリーケースの位置情報がわかるという。ケースが盗難された場合でも見つかる可能性を高める機能だろう。
「発売からまだ約2カ月のため、反響を数字で提示はできない段階ですが、出張をはじめ移動の多い方に支持をいただいています。雑誌などをご覧になって店頭に下見に来られる方が非常に多く、ガジェット好きの方に『プロテカ』ブランドを知っていただく機会にもなっているようです」(山田氏)
ロジェール/狭いスペースで便利なフロント横開き
キャリーケースの生産数で世界最大級を誇るファクトリーが展開する、日本生まれのブランド「ロジェール」。1988年に誕生、2013年にリニューアルスタートし、現在アジア諸国をはじめ、ヨーロッパ、北中米、オセアニア、中東など約30カ国でキャリーケースを販売している。
同社のキャリーケースの中で、今、人気を集めているのが2017年1月に発売した「CUBO(キューボ)」。発売から10月までで、約3000個を販売した。これほど支持を集めた理由は、横開きのフロントオープン構造にある。
キューボはケース中央が開くのではなく、フロントパネルのみが開くタイプ。そして横開きで、かつ開いたフロントドアを直角に留めるストラップが付いているのが特徴。そのためケースを寝かせたまま簡単に開けられ、狭いスペースでも素早く荷物を取り出せる。
ケース1個分のスペースさえあれば開けられるので、待合所などでも荷物を出し入れしやすい。ホテル室内のベッドサイド、備え付けのテーブルやソファの上でも荷ほどき・荷造りができるのは非常に便利。
またフロントオープンの1室構造により、一般的な二つ折りのキャリーケースよりも大きな荷物が入る。奥行きがたっぷりあるので、例えば旅行先で購入した靴なども箱ごと収納可能。さらにケース中央のファスナーを開くとマチ幅がアップし、より多くの荷物、大きな荷物を入れられる。
「購入される方は20~30代くらいの男女が多いですが、40代以上でもオシャレな方に人気があるようです。今までにない独特で機能的な収納性と、同じリットル数のキャリーケースと比べても荷物を多く収納しやすい構造が支持されています」(ロジェールジャパン LOJELブランド責任者 三森繁夫氏)
ザ・ノース・フェイス/人気ビジネスリュックを4輪キャリーに
ザ・ノース・フェイスで絶大な人気を誇るビジネスリュック「シャトル デイパック」。独立したPC収納スペースを備え、品よく使えるスクエアデザインで、昨今のビジネスリュックブームをけん引してきた。
多くのビジネスパーソンに支持される「シャトル」シリーズからは、実はキャリーケースも展開されている。デイパックと同様のデザインを採用しており、出張の際に2つを合わせて使えば、統一感のあるビジネススタイルを演出できる。これも他のキャリーケースにはない、プラスαの魅力だろう。
もちろんキャリーケース単体としても優秀。上下2段のフロントポケットはケースを立てたままでも使え、メイン室も横幅いっぱいに開く縦型フロントオープンでアクセス良好。素早くラクに荷物を出し入れできる。
軽量かつ高強度の1050デニールのコーデュラバリスティックナイロンを使用し、ソフトケースながらしっかりとした形状をキープ。外装ファスナーは止水仕様で、ケース下部四隅にプラスチックバンパーを備えるなど、アウトドアブランドが手がけているだけあって作りがタフ!
そしてキャリーバーのグリップが極太で、握りやすいのも特徴だ。キャリーハンドルの左右に伸縮ボタンが付いており、しっかり握り込めるため取り回しやすい。またボトム、サイド、トップの3か所にハンドルが設けてあり、階段や荷上げなど手で持つシチュエーションで活躍する。
「2016年の春夏から展開し、現在も問い合わせが殺到している人気商品です。シャトルシリーズということもあり、ビジネスパーソンの方から支持を得ています」(ゴールドウイン ザ・ノース・フェイス プレス 渡邉麻里子氏)
(上) 個性派キャリーケース スマホ充電や出し入れに一工夫
(中) 今や旅行の必需品 「たためる」バッグ&ウエア4選
(下) 旅行をもっと快適に あると便利なアイテム5選
(ライター 津田昌宏、写真 宮前一喜=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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