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子育て女性、成長求め転職 「職場の配慮」が逆効果

2017/12/5 日本経済新聞 朝刊

屋外広告会社から家事代行会社へ転職した里田恵梨子さん(右)

 小さな子どもを持つ女性の転職が目立つようになってきた。やりがいを感じられる仕事をしたい、経験や知識を生かしキャリアを積み続けたいという思いからだ。ママ社員を戦略的に採用する企業も出てきた。

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■リクルートキャリア、女性向けにセミナー開催

 リクルートキャリアが9月に都内で開いた女性向けセミナーには転職やキャリアを考える約100人が集まった。「子育てしながら管理職として職場でどう振る舞うか」「子育て中というだけで業務範囲を狭められてしまう。もっと自由に働きたい」。座談会では、仕事と子育ての両立に悩む声が多く出た。

子育てとの両立に参加者の高い関心が寄せられた(リクルートキャリアが9月に都内で開いたセミナー)

 都内在住で大手メーカーに勤める女性(38)は財務部門が長く決算の中心メンバーだ。ただ定型的な仕事も多く「日系企業は縦割り志向。業務は限定的で広がりがない」とキャリア形成の不安を語る。得意の英語と財務の知識を強みに、10歳と3歳の子どもを抱えながら外資系メーカーへの転職に向け活動中だ。

 子育て中でも転職で働く環境を変えたいと考える女性は多い。リクルートキャリアが1日に発表した調査では、子どもがいる女性求職者の転職理由(複数回答)は「自身の成長やキャリアアップのため」が41.2%で回答数の多さでは3位。子がいる男性を6.9ポイント上回り、女性にキャリア意識を持ち転職を考えている人が多いことがわかる。

 背景には「男性と比べキャリアアップしにくいという日系企業特有の構造がある」と法政大学キャリアデザイン学部の坂爪洋美教授は分析する。「子育て女性は大変だからいいよ」と職場では過剰な配慮意識が働きやすい。坂爪教授は「配慮は言い訳で、個人によって違う働く意欲を確認し適切に仕事を与えることを放棄している」という。

 バイリンガルや専門職の人材紹介業のロバート・ウォルターズ・ジャパン(東京・渋谷)には「育児休業からの復職後1~2年は配慮された環境で過ごすが、次第に配慮を窮屈に感じ、相談にくる女性が増えている」という。

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 職場で力を発揮したいという意欲をそがれ、転職に活路を見いだすママ社員の受け皿となるのはどんな会社か。

 「ママになったあなたにこそ、輝いてほしい。」。こんなコピーで求人広告を出したのは化粧品・健康食品メーカーのアンファー(同・千代田)だ。ママを積極採用するきっかけは、当時のブランド戦略部部長の女性が育休から復職したこと。「帰宅時間が決まっているので会議や相談は効率的に。部署メンバーも時間管理の意識が変わり、業務にメリハリがついた」と同社。

 その部長は休業中に温めていた商品企画を復職後に実現。「できる仕事と会社にいる時間の長さは関係ない」「子育て女性の働き方は効率的」との考えが浸透した。広告には250人が応募、数人を採用した。中途でも実績によっては半年間で課長職に昇格する場合もあるという。

 大手IT(情報技術)コンサルのアクセンチュアは2007年から15年までで子を持つ女性社員は6倍になった。「仕事で求められることは全員同じ。ただ立場や環境に違いがある」(同社ディレクターの嘉者熊弥生さん)として、キャリア研修、成長するきっかけが平等か確認する後見人制度、管理職の「無意識の偏見」を改める研修など細やかな環境整備で定着を図る。

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