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大胆と臆病 アムールヒョウの双子、個性差に生きる力

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NIKKEI STYLE

気づけばもう師走です。今年も雪になったり雨になったり気温の変化が激しい初冬の印象が強いですね。年々気候が乱暴になっているのは間違いないのでしょう。穏やかな正月を迎えられたらと願います。

さて皆さん、今更ですが生物多様性の三つの多様性はご存じですか?

一つは環境の多様性。これはそりゃそうだよなですね。二つ目は種の多様性。これもそりゃそうだ。ヒトは自然環境の中で生きる生きものではなくなり、ヒトのための環境を作り出し自然を一方的に利用する生きものになりました。そろそろこれは持続可能ではないことに気づいたのが現在でしょうか。

最後にもう一つはなんでしょう?。遺伝子の多様性です。当たり前だろと思った方すいません。特にトラやヒョウのような肉食動物の場合、種の生息数(個体数)が減少した場合一番の問題になります。近親交配による様々な障害により種が滅びる危険があるからです。

僕が動物園に就職した当時オオカミのペアがいたのですが、兄弟婚から生まれた兄弟のペアでした。当時はインターネットを使った情報網もなく、ましてや国際的な血統管理という仕組みもなく、このペアで繁殖を目指すしか選択肢がありませんでした。何度か繁殖を試みたのですが、正常な状態の子はごく少数で、大多数は成長できずに死亡しました。

基本的にどの動物も繁殖した雌雄どちらかの性の個体は親元や群れを離れ(追い出され)自らで生きる場所を見つけなければいけません。それが極端な近親交配を避ける仕組みなのですが、飼育下や野生下でも生息地の分断・縮小、個体数の減少などで近親交配が起こりえます。ヒトでもある一定以上離れた血縁でなければ結婚を認めない仕組みを作ったのは経験から生まれたものなのでしょう。

ちなみにネコ科の動物であれば生息数が200頭を切ると、遺伝的な面から絶滅が避けられないとも言われています。

とは言えヒトは近親交配を利用しています。家畜やペットです。ヒトにとってより都合のよい性質や形態を持った個体が生まれると親との戻し交配などを行いその性質や形態を固定化し品種化してきたのです。ヒトの欲は際限がありません。

一方で近親交配に強い生きものも多くいます。一般的には鳥類や草食動物、齧(げっ)歯類などです。遺伝子的に安定しているとの見方もできるかもしれません。再現性や安定性が求められる実験に使われる実験動物のマウスなどはほぼクローンと言っていいまでの近親交配を繰り返し様々な品種がつくり出されています。

脱線しまくりましたが、今回お話ししたいのは遺伝子の多様性は個性の多様性でもあるということです。今回繁殖に成功したアムールヒョウは雌雄の兄弟です。共通の性質は当然あるのですが、身体能力の違い、物音に対する反応の違い、好奇心の持ち方の違い、親への依存度の違いなど様々な違いがあります。結果メスの子は大胆で怖いもの知らず、オスの子は慎重で臆病です。どちらが優れているということではありません。どの動物にも個性はあります。

自然の中で環境は不変ではありません。様々な価値観を持つ種があふれています。その中で生き抜く可能性を高めるのが個性だと思います。たとえば環境が激変しても柔軟に対応できる個体、生き抜く個体がいるのです。皆が1か0のような決まった反応をしないことが他の個体、他種との関係の中で臨機応変につながり調和とバランスを保てるのだと思います。

そもそも種ごとに皆が同じなのであれば、生存競争の中で勝ちか負けだけになりその結果種は減っていくはずです。多様性の根源は個性の多様性から生まれるのではないでしょうか。

秋になると学校での講演が多くなります。健康、安全、安心、平等や権利など様々な面から画一化が進まざるを得ない状況が強くなっているように感じます。一方で未来に向かってたくましく生きる力を育てよう!と標語が掲げられたりしています。今日と10年後の今日はおそらく全く違っているでしょう。環境もさまざまな価値基準もです。わがままということではなく個性の多様性を発揮できる環境を整えることこそ、未来の力、につながるのだと思います。

坂東元(ばんどう・げん)
 1961年旭川市生まれ。酪農学園大学卒業、獣医の資格を得て86年から旭山動物園に勤務。獣医師、飼育展示係として働く。動物の生態を生き生きと見せる「行動展示」のアイデアを次々に実現し、旭山動物園を国内屈指の人気動物園に育てあげた。2009年から旭山動物園長。

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