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持病ありでも入れる医療保険 「よし」と飛び付く前に

日経マネー

2017/12/19

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 高齢社会の現代に、持病を幾つも抱えながら日常生活を送る人は珍しくない。そして健康状態に不安を感じている人ほど、保険に加入したいと考えるのは自然なこと。保険会社がこぞって「緩和型医療保険」に参入するのも、当然の流れだろう。告知項目の条件を緩やかにし、持病があっても入りやすくした保険をこう呼ぶ。

 代表的な3つの商品を下表に取り上げた。保険料は各社が取り扱う通常タイプの医療保険の2倍前後。ネオファースト生命保険の商品は自社の通常の医療保険と同じ保障内容だが、オリックス生命保険とメットライフ生命保険の商品は保障を絞っている。また、ネオファーストとオリックスは加入後1年以内の保障が半額になる。

 告知項目も各社各様だ。オリックスは5年以内にがんによる入院・手術を経験した人を加入対象外とするが、他2社はがんだけでなく、精神疾患や肝疾患などによる入院・手術の経験者も入れない。緩和型とはいえ加入条件には細かな内容が含まれるので、正しくかつ慎重に告知する必要がある。

■慌てて入らなくてもいい

 加入条件を満たしたとしても、飛び付くのは早計だ。保険会社にとっては、通常よりリスクの高い顧客に保障を提供しつつ利益を出す必要があるので、商品設計には相応の知恵を絞っているはず。保障内容と保険料のバランス(費用対効果)は十分に見極めたい。

 例えば1入院の給付限度である60日間の入院をした場合、受取額は3商品とも30万円(上表の例。以下同じ)。一方、10年間の累計保険料は40万円を超える。ネオファーストは加入後5年間に入院給付金の支払いなしなどの条件に該当すると保険料が割引になるが、割引後でも10年分の累計は約31万円だ。そして3商品とも、保険料の支払いは終身続く。

 持病がある人は、その治療を継続的に受けていることが多い。今後、入院や手術に至る可能性がどのくらいあるのかも熟慮が必要だ。

 高齢になった時の入院を心配しているなら、将来の医療体制がどうなっていくのかも押さえておきたい。拡大する慢性期の医療・介護ニーズに対応するため、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みが各地で始まっている。現在、介護保険法を設置根拠とする、医療機能を内包した施設系サービスなどの創設が検討されている。

 一方、医療保険における入院とは「医療法で定める病院など」への入院のことだ。現在検討されている施設系サービスは対象にならない可能性がある。もし数十年先まで視野に入れているのなら、こうした制度の変化も見据え、貯蓄も選択肢の一つとして検討したい。

内藤眞弓
 生活設計塾クルー。13年間の大手生命保険会社勤務の後、FPとして独立。生活設計塾クルー取締役を務める。『医療保険はすぐやめなさい』(ダイヤモンド社)など著書多数。一般社団法人FP&コミュニティ・カフェ代表。

[日経マネー2018年1月号の記事を再構成]

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