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同世代が奏でる色彩豊かな響き 東京六人組

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東京の主要オーケストラの首席奏者やソリストとして活躍する若い音楽家で結成された「東京六人組」が11月、2枚目のCDアルバムをリリースした。高度なテクニックと息の合ったアンサンブルで色彩あふれる音色を奏でる東京六人組の魅力を追った。

同世代が意気投合しピアノと管楽器6人編成に

東京六人組が結成されたのは2015年。メンバーはフルートの上野由恵さん、オーボエの荒絵理子さん(東京交響楽団)、クラリネットの金子平さん(読売日本交響楽団)、ファゴットの福士マリ子(東京交響楽団)、ホルンの福川伸陽さん(NHK交響楽団)、ピアノの三浦友理枝さんの6人。結成の2年ほど前に岐阜県関市で6人が集まり、一緒に演奏したのがきっかけだった。

「もともとお互いに知ってはいたけれど、アンサンブルとして6人で演奏したのはその時が初めて。初めてとは思えないくらい意気投合した」とオーボエの荒さんは出会いを振り返る。「音楽や演奏の方向性もぴったり合っていた。あまりに楽しくて、また続けたいということになり、このグループを結成した」と経緯を語る。

キーワードは同世代だ。グループ結成の中心になったホルンの福川さんは30代。「同世代のやりとりのしやすさが、この6人組のすごくいいところだと思う。例えば、オーケストラで100人での演奏だと、それぞれが音楽的に何を話しているのか聴きづらいところもある。でも6人だと相手がどのような表情で、どういう内容を話しているのかをよく聴いて、それから自分がどう応じるか答えを出せる。これが音楽的にとても濃密なやりとりにつながるし、六重奏ならではの良さだ」と説明する。

結成した年の10月にはデビューCDを出した。ファーストアルバム「魔法使いの弟子」(発売元 オクタヴィア・レコード)ではラヴェル、プーランク、ルーセル、ドビュッシーなど近代フランスの作曲家の作品を集めた。最も注力したのは、色彩感。「フランスの作曲家の作品は色彩感がとても重要で、それを6人でどう表現できるかにこだわった」とフルートの上野さんは言う。

11月22日にリリースした2枚目のアルバム「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」(発売元 オクタヴィア・レコード)は、打って変わってリヒャルト・シュトラウスやトゥイレといったドイツの作曲家の作品が並ぶ。「ドイツものは色彩も大事だが、重厚感、音楽の方向性や流れをどうするのかが大切になる。いつも以上に意識し、リハーサルに時間をかけた」とフルートの上野さんが解説してくれた。

大編成のオーケストラ作品も6人で聴かせる

アルバムの収録は横浜市戸塚区のさくらプラザホールで行われ、3日間、缶詰め状態で何度も録音し直したという。「こんなに美しい演奏ならもういいんじゃないかな、と思っても、他のメンバーが『まだ、もっと良くなる』と厳しく追求して出来上がった。演奏すればするほど、新しい音色や表現が出てきて、大変だけど本当に楽しい経験だった」と話すのはファゴットの福士さん。同世代のメンバーならではの遠慮のない自由なやりとりがうかがえる。

メンバーはたったの6人。ところが演奏を聴いていると多様な音色が飛び交い、とても6種類の楽器のみによる演奏とは思えない。実際、アルバムのタイトルにもなっているR・シュトラウスの交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」は本来、大編成のオーケストラ向けの作品で100人以上で演奏することもある。それを今回は6人向けに編曲している。「100人で演奏しても大変難しい曲なのに、それを6人に集約しているので、一人二役、三役は当たり前。ピアノは弦楽器のパートをすべて引き受けるなど、すさまじい編曲になっている。それをこの6人でどうこなしているのかを、まず聴いてほしい」とピアノの三浦さんは聴きどころを解説する。

特にトゥイレの「六重奏曲変ロ長調作品6」について三浦さんは「ドイツのこの編成の曲としては最高峰の傑作だと思う。重厚感や構築性、形式がしっかりあって、30分間聴き終わったときにとても納得感があるので、ゆったりした気持ちで聴いてもらいたい」と指摘する。またモーツァルトの「トルコ行進曲」やブラームスの「ハンガリー舞曲」は、この編成用に新しく編曲を依頼した。「しかけがたくさんあって、楽しい編曲になっているので純粋に楽しんでもらえると思う」と三浦さんは自信を示す。

「ティル・オイレンシュピーゲル」のように総勢100人にものぼるオーケストラのために書かれた作品を、6人で演奏することの魅力はどこにあるのか。普段は東京交響楽団の首席奏者として活躍するファゴットの福士さんはこう説明してくれた。「オーケストラでは指揮者がいて、弦楽器、管楽器と大勢の奏者が並び、自分に割り当てられる役割、例えばファゴットなら低音楽器なので伴奏に徹することが多い。それがこの人数だと誰もがメロディーを吹くこともあれば、伴奏にまわることもあって、それぞれ役割がすごく多いので、それが難しいところでもあり、とても魅力的なところでもあると思う」

オーケストラの一員とは異なる演奏の楽しみ

クラリネットの金子さんも、普段は読売日本交響楽団の首席奏者だ。「いろいろ難しいところもあるが、それを克服するとまた楽しくなる。やっぱりオーケストラではいわば会社の一社員のようなもの。オーケストラでの演奏ももちろん楽しいけれど、6人だとそこではできないこともできるのではないか」。オーケストラの一員とはまた異なる演奏の楽しみを各人が抱いているようだ。

セカンドアルバムの発売を記念し、11月6日にハクジュホール(東京・渋谷)で開かれたリサイタルの直前のリハーサルをのぞいた。互いの演奏のテンポやタイミングを細かく確認し、客席ではどんな響きに聞こえるのか、6人の音のバランスを入念にチェックしていた。妥協を許さず、音色を調整していく一方で、演奏の合間ではしょっちゅう笑いが起きる、見るからに楽しそうな雰囲気だった。本番ではホールはほぼ満席で、若い聴き手も目立つ。シャープでくっきりした音色が響くかと思うと、やさしい、包み込むような演奏もある。様々な表情をみせるアンサンブルに拍手が鳴り続いていた。

6人は今後の活動にも意欲的だ。「一人ひとりがすばらしい音楽家なので、6人が集まるとそのエネルギーがさらに強くなる。それを日本全国の人にも世界の人にも聞いてほしいと思っている」とホルンの福川さんは言う。大編成の作品も6人で表現すれば「一人ひとりができる限りの音色、表現のパレットを使って演奏するので、『こんな引き出しもあった』と新たな自分の一面に気づくことも増える。小さい編成の演奏はより楽しいと思うし、聴き手にもそれが伝わると信じている」。実際に「ティル・オイレンシュピーゲル」ではオーケストラ版とは異なるクリアで艶やかな響きが作品の新たな魅力を引き出していた。

気の合う仲間だからこそ、奏でられる絶妙なアンサンブルからは、一緒に演奏していることが楽しくて仕方ないという6人の気持ちが伝わってくる。管楽器とピアノによる珍しい6人編成から聴き手は音楽体験を新たにする。

(映像報道部 槍田真希子)

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