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ブリのしゃぶしゃぶ 脂のった師走の味をサッパリと

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NIKKEI STYLE

魚へんに「師」と書いて「ブリ」と読む。師走、すなわち12月においしくなる魚だからということらしい。3月から5月の産卵期に備えてカラダに脂肪をたくわえるこの時期がブリの旬である。

ブリは大きさによって名前が変わる「出世魚」としても知られている。関東では「ワカシ」「イナダ」「ワラサ」「ブリ」、関西では「ツバス」「ハマチ」「メジロ」「ブリ」。北陸では「ツバイソ」「フクラギ」「ガンド」「ブリ」など、地方によって呼び方も変わる。どの地方でも80センチを超えるものは「ブリ」と呼ばれている。

「出世」=「縁起がいい」ということから「年取り魚」に用いられる。年取り魚とはおおみそか、年越しのお膳につける魚のこと。まさに師走を代表する魚だ。

年越しにブリを食べるのは西日本。本州中央部をほぼ南北に走る大断層「糸魚川静岡構造線」を境に、西が「ブリ文化圏」、東が「サケ文化圏」に分かれる。

いまのように物流や冷凍技術が発達する前は、塩を多めに振って熟成させた「塩ブリ」や「塩ザケ」を食べていた。いまは減塩ブームから塩蔵魚を食べる家庭は減ったが、年越しに生のブリやサケを刺し身で、あるいは調理して食べたり、お正月の雑煮に入れたりする習慣は残っている。

そんな日本の伝統的な魚食文化を支えてきたブリ、ここ数年で「出世」ならぬ大きな「進化」を遂げているのをご存じだろうか。

昨年か一昨年の冬だったか、スーパーマーケットの鮮魚コーナーで「カボスの香りがするブリ」なるものを発見したことがあった。見ためはいかにも新鮮な刺し身用のブリ。かんきつ系果汁でマリネしてあるわけでもなさそうだ。パッケージをよく読むと、えさにカボスの果皮を混ぜた養殖のブリで、身からカボスの香りがするとのこと。

興味半分で購入し、刺し身で食べてみた。味覚を集中させるとほのかにカボスの香りがするような気がする(が、いわれなければ気がつかないかも?)。でも、普通の養殖ブリよりもサッパリしていて、臭みも少なくおいしかったのを覚えている。

その後も回転ずし屋で、はたまたインターネットのお取り寄せサイトで、変わった「ブランドブリ」をよく目にするようになった。香川県の「オリーブぶり」、和歌山県の「レモンぶり」、鹿児島県の「柚子鰤王(ゆずぶりおう)」、愛媛県の「みかんブリ」、徳島県の「すだちぶり」など。

「ザ・日本の正月」のイメージのブリが、オリーブにレモンだなんてまるで地中海みたい! 「大間まぐろ」「関あじ」といった水揚げされた場所で差別化したブランド魚の「ザ・漁師!」「男の世界!」とはちょっと違うさわやかだ。

これらのブリもフルーツの果汁や果皮、葉の粉末などが入ったえさで育てられたもの。「フルーツ育ち」の養殖ブリだ。国内の生産量のうち半分以上を養殖が占めるブリならではのユニークなブランド化なのである。

フルーツ育ちのブリは、魚嫌いな人がいうところの「生臭さ」がなくなり、脂の量は同じでもサッパリとした食感になるのが特徴。

ブリのほかにもカンパチやヒラメなど「フルーツ育ち」の養殖魚は存在する。これらを総称して「フルーツ魚」と呼ぶ。

フルーツ魚の火付け役は高知大学が開発し、鹿児島県長島町にある東町漁協で生産・販売する「柚子鰤王」といわれている。もともとは抗酸化作用の高いユズに魚肉の変色を抑える効果があるかの実験で、ユズ果汁を添加した飼料をブリに与えていた。その実験後の試食の際、ブリの身からユズの香りがすることを発見したという。

柚子鰤王はユズの香りがすることにこだわり、ブリの身からユズの香りがする冬期のみの販売。養殖魚というと1年じゅう味も価格も安定して食べられるのがメリットなのだが、まさかの季節限定。そこがまた希少性を高めていて「食べてみたい!」と思わせる。

かつて養殖魚は天然魚の「代替品」という位置づけで、ゆえにこれまで養殖業者は養殖魚を天然の魚に近づけようと努力してきた。だが、エサを管理できるという強みを活かし、新たな付加価値をつければ、天然魚とはまったく別の土俵で勝負できるようになるのだなぁと感じた。

脂ののったブリをサッパリ食べたいという嗜好は料理の新たなトレンドも生み出した。ブリ料理の定番といえばブリのアラを炊いた「ブリ大根」や「ブリの照り焼き」など、こっくりとした味つけのものだったが、最近アッという間に定着したのが「ブリしゃぶ」である。

その名のとおりブリを使ったしゃぶしゃぶ。昆布などでとっただし汁に薄切りのブリの切り身をサッとくぐらせ、長ネギ、水菜などの野菜とともにポン酢でいただく。だしのかわりに豆乳を使うバージョンもある。

ブリしゃぶの発祥は諸説あり、ブランド魚「ひみ寒ぶり」で有名な富山湾の氷見の民宿が元祖とも、氷見、長崎県の五島列島と並ぶ日本3大ブリ漁場のひとつ京都府与謝郡伊根町の旅館が元祖ともいわれている。

それがポン酢やビール、日本酒のテレビコマーシャルに立て続けに登場し、すっかり全国区の人気鍋となった。いまやスーパーマーケットでもしゃぶしゃぶ用の薄切りブリが売られているほど。飲食店のみならず、家庭でもブリしゃぶを楽しめるようになった。

脂ののったブリはサッとだしをくぐらせることで余分な脂肪分が落ち、サッパリとしていくらでも食べられそうなうまさ。

まずは日本酒とともに刺し身でいただき、次にしゃぶしゃぶでレアな状態を楽しむのもいい。脂ののったブリは少し火を通したほうが甘みが増すような気がする。

最後はごはんを入れてぞうすいにし、ブリから出たうまみを余すことなくいただく。これがまた絶品だ。

せっかくブリの脂を落として食べたのに、それをまた摂取していては意味がないじゃないかといわれそうだが、心配ご無用。ブリに含まれる脂は不飽和脂肪酸といって脳の情報伝達をスムーズにして記憶力をアップさせたり、アルツハイマーの予防をしたりする働きがある。「魚を食べると頭がよくなる」という歌があったが、積極的に摂取したい脂肪なのだ。

そして、ブリを含む青魚は不飽和脂肪酸を豊富に含むことで知られている。

さて、富山から飛騨、さらに松本を結ぶ旧飛騨街道のことを「鰤街道」と呼ぶそうだ。江戸時代、富山湾でとれたブリが馬に乗って運ばれた道だそうな。

この鰤街道のうち富山・高山間の約90キロを「ノーベル街道」「出世街道」という。利根川進さん、小柴昌俊さん、白川英樹さん、田中耕一さん、梶田隆章さんの5人の日本人ノーベル賞受賞者が、かつて住んでいたり実験に訪れたことがあったりと、この街道沿線にゆかりがあるそうだ。

やはり、ブリを食べると頭がよくなるのかもしれない。最近、物忘れが激しい私「サケ文化圏」出身だけど、これからはブリを食べるようにしようと思う。

(ライター 柏木珠希)

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