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明石焼き、伝統のふわぷる感 たこ焼きと似て非なる味

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NIKKEI STYLE

明石焼きって、たこ焼きをだしに浸して食べるあれでしょ? 東京では、そんな風に思っている人も多いのではないだろうか。しかし、明石焼きは「あかし玉子焼き」と言って、だしに浸っているのはたこ焼きではなく玉子焼きと呼ばれるものだ。

どう違うのだろう?

玉子焼きは、卵がたっぷりと入る上に、小麦粉以外にじん粉と呼ばれる小麦のでんぷんのみの粉を使う。じん粉は加熱しても固まらないため、焼き上がりがふんわりぷるぷるになる。一方で、たこ焼きは小麦粉を中心に山芋などを加え、よりしっかりとした食感だ。また、玉子焼きは具がタコだけが多いのに対し、たこやきは天かすなど様々な具材が入ることも多い。そしてそもそも、あかし玉子焼きにヒントを得てたこ焼きが誕生したという歴史的経緯もある。

諸説あるが、一般的に知られているのは以下のようなストーリーだ。

江戸時代にさかのぼる。当時の明石では、模造サンゴの「明石玉」が盛んに作られ、地場産業になっていた。この明石玉の製造には大量の卵の白身が必要だったことから、黄身だけが残ってしまい、それを活用するために、卵の黄身がたっぷり入った玉子焼きが編み出された。

具には地元特産のタコが入り、焼き上がりを薄口しょうゆで味を調えただし汁に浸して食べた。

一方、たこ焼きが誕生したのは昭和に入ってからと言われている。明治から大正にかけて、溶いた小麦粉をスジ肉を具材として丸く焼いた粉もの料理「ラジオ焼き」が子どものおやつとして広く食べられていた。

大阪にある会津屋初代の遠藤留吉さんが、客から「大阪は肉か、明石はたこが入っていた」と聞き、生地の中にタコを入れて「たこ焼き」と名付けた、というものだ。

実際にあかし玉子焼き食べてみよう。JR西明石駅そばにある「明石夢工房」を訪ねた。

調理を見せていただく。小麦粉とじん粉をふるいにかけ、だし汁で溶く。そこに卵を溶き、加える。歴史はともかく現在は黄身だけではなく全卵を使うのが一般的だ。できあがったたねは、ほぼ液体だ。これを熱して油を敷いた鍋に流し込む。

鍋もたこ焼き用の鋳鉄製ではなく、銅鍋だ。熱伝導がよく、生地のふんわり感をより引き出し、絶妙な焼き加減に仕上げられるからだ。

入れるタコはもちろん地元産。豊富なエサに恵まれ栄養たっぷり、潮の流れが激しく身も引き締まった新鮮なタコは、かめばかむほど味わい深い。

箸や串などを使って丸く成形していく過程は、たこ焼きと一緒だ。

しかし丸くなっても、常に重力を受け止めている点が、たこ焼きと玉子焼きの違いだ。焼き上がった玉子焼きは「あげ板」と呼ばれる、手前に傾斜した板の上に盛りつけられると、コロコロのたこ焼きとは違い、自らの重さで少し潰れた楕円型になる。これをだし汁とともに食べるのが地元流だ。

玉子焼きを箸でつまみ上げると、その「ぷるぷる」具合を実感できる。はしに力を入れると、箸が当たっている部分がくぼんでしまう。あまり力を入れすぎるとちぎれてしまうほどだ。

そもそも卵と粉をだしで溶いているため、玉子焼きだけでもほのかなだし味になっている。なので、これを受け止めるだし汁は、関西という土地柄ながらしっかりとカツオ節の味が効いている。ただし、たしは店によって違いがあるそうで、その食べ比べもあかし玉子焼きの楽しみの一つという。

ここで迷うのは、だし以外の味付けが許されるのかどうか。もともと明石ではだし汁のみで味わうのが一般的だそうだが「今はソースをつけてだし汁に浸して食べる人も多い」と店長は言う。

かつて姫路から大阪まで明石焼きとたこ焼きを食べ歩いたことがあるのだが、ごく狭い地域ながらその食べ方の違いに驚かされた。姫路では、あげ板の玉子焼きにだし汁が付いて提供されるが、客の多くはソースをつけてからだし汁に浸して食べていた。高砂市や加古川市でいったん姿が見えなくなった玉子焼きは地元の明石で再登場、町中に店が並ぶ。

そこから東へ向かい神戸に至ると、玉子焼きではなく小麦粉のたこ焼きがだし汁に入って出てきた。もちろんソース付き。そして大阪府に入るとだし汁は消え、コロコロで、ソースとマヨネーズたっぷりの「大阪のたこ焼き」になった。

もちろん、店によって違いはあり、たまたまかもしれないのだが、その変遷は実に分かりやすかった。

確かにソースを加えると、明らかに味にパンチが出る。しかし最後は添えられた刻みのりと一緒にだし汁本来の味で本場のあかし玉子焼きを締めくくった。のりが加わったカツオ節のだし汁の味わいは、まるで東京の雑煮のようだった。

そもそもあっさり薄味の玉子焼きを和風のスープで味わうふわぷるのあかし玉子焼は、花カツオにソース、マヨネーズ……とこれでもかとパンチの強い味を繰り出す大阪の「外かり中ふわ」のたこ焼きと比べると、別世界の印象だ。どちらがおいしいかとかいうのではない。ひとくくりにはできないだろうということだ。

「明石夢工房」の西明石店は、夜10時半までの営業。あかし玉子焼き以外のおつまみメニューもある。タコの地元らしく、ゆであげのタコと唐揚げをつまみに酒も飲める。

毎日仕入れて店でゆでるというタコはしっかりした歯ごたえながら、硬すぎず、ほど良いコリコリ感を味わえる。よく揚げた唐揚げも、塩味が効いて、いかにもビールが進みそうな味わいだ。

そんなあかし玉子焼きとタコの町、明石で、11月25、26日の2日間「2017西日本B-1グランプリin明石」が開催された。あかし玉子焼きによるまちおこしに取り組むあかし玉子焼きひろめ隊と明石市は、昨年開催された「B-1グランプリスペシャル in 東京臨海副都心」で、第1位に当たるゴールドグランプリを受賞、今年、地元での西日本大会を企画した。

2日間で17万3000人もの来場者が明石に押し寄せ、各地のご当地グルメとあかし玉子焼きに舌鼓を打った。タコだけでなく、明石はタイも名物だ。多くの来場者が明石の味を堪能したに違いない。

イベントに限らず、近くを訪れた際には、明石に立ち寄り、本場の明石焼き=あかし玉子焼きを一度味わってみることをおすすめしたい。

(渡辺智哉)

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