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Perfumeが実証 5Gモバイルの魅力は低遅延

佐野正弘のモバイル最前線

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NIKKEI STYLE

国内では2020年のサービス開始を目指して準備が進められている次世代のモバイル通信方式「5G」。20Gbps(ビット/秒)もの高速・大容量通信で動画の大量通信時代に対応するほか、低遅延で自動運転などへの応用が期待される。5Gに力を入れるNTTドコモがここ最近実施したイベントから、5Gの現在を探ってみよう。

Perfumeのデモで示した5Gの低遅延

NTTドコモは17年11月8日、NTTグループの最新技術を駆使して新しいエンターテインメント体験を提供する「FUTURE-EXPERIMENT」の第1弾プロジェクトとして「VOL.01 距離をなくせ。」を披露した。

これは、Perfumeのメンバーがニューヨーク、ロンドン、そして東京の3カ所に分かれてパフォーマンスを披露し、それをリアルタイムで合成して一つの映像にまとめ、ストリーミング配信するというもの。ニューヨークとロンドンの映像を、光回線を通じて東京に送り、東京で撮影している映像とまとめて配信する仕組みが取られた。

海外からのテレビ中継などで、会話にずれが生じるが、これを起こすのがネットワークの遅延。このパフォーマンスでは世界3カ所の映像がほとんど遅延なく送れることを示していた。そして、ロンドン側のネットワークの一部には、5Gの試験ネットワークを挟み込んでいた。

もし5Gのネットワークで遅延が発生してしまえば、ロンドン側のパフォーマンス映像にずれが生じ、パフォーマンスが台無しになってしまう。実際にリアルタイムで配信された映像では、ロンドン側の映像にもずれが生じることなく、3人の息の合ったパフォーマンスを見ることができた。固定回線に匹敵する低遅延を、5Gで実現できることが証明されたわけだ。

自動車業界が注視する「低遅延」

そもそも「5G」とは「5th Generation」の略。モバイル通信の第5世代技術という意味だ。現行のLTE、LTE-Advancedの「4G」の後継になる。

[注]厳密にはLTE-Advancedからが4Gなのだが、LTEを「4G」と呼称するケースも多いことから、ここではLTE以降の通信方式を4Gとして扱う。

5Gの特徴は大きく分けて3つある。これまで、モバイル通信の進化は通信速度の高速化が中心だったが、冒頭に挙げたパフォーマンスのように5Gでは「低遅延」を実現する。

これを活用するのが「自動運転」「遠隔医療」などの新技術だ。実は5Gの低遅延に最も注目している業界の一つとして挙げられるのが、広域で利用できる5Gのネットワークを活用し、自動運転を実現したい自動車業界なのである。

自動運転の品質を向上させるためには、ネットを使ったクラウドとの連携が必要と考えられている。例えば道路の状況の情報をリアルタイムで収集して他のクルマに伝えたり、高度なクラウド上のAI(人工知能)を使うことだ。もしクラウド上のAIが高速で走行している自動運転車に送った指示が、ネットワーク遅延によりタイミングがずれて伝わってしまうと、ブレーキやハンドルなどの制御タイミングがずれ、大事故につながってしまう可能性がある。LTEの遅延は片道で5ミリ秒だが、5Gではその10分の1となる0.5ミリ秒を目標としている。これは安全な自動運転の実現に直結する。

大きな産業の開拓に結び付くだけに、NTTドコモのイベントにおいても5Gの低遅延を積極的にアピールしていた。新日鉄住金ソリューションズと共同で開発している「5G FACTORY III」では、人の手や体にセンサーを取り付けて動くと、5Gのネットワークを通じてロボットにその情報が送られ、遅延なく人間と同じ動きをする様子をアピールしていた。またヤマハが提供する、オンラインで音楽のセッションをするツール「NETDUETTO」を活用したデモでは、目の前にいるキーボード演奏者と、別の場所にいるボーカルが、5Gを通じてずれのないセッションを披露する様子が公開された。

最大20Gbpsもの高速・大容量通信を実現

もちろん高速化も達成する。これが第2の特徴だ。4Gの通信速度は最大でも3Gbps程度といわれているが、5Gでは従来より広い帯域幅を持つ、3GHz以上の高い周波数帯域を多く用いることにより、下り最大20Gbpsを実現することを目標としている。

NTTドコモがシャープと共同で実施した実証実験では、5Gを使って「8K」の映像を12チャンネル同時に伝送することに成功した。8Kは4Kの4倍の画素数があり、映像の伝送には1チャンネル当たり平均で80Mbps程度の速度が必要だという。4Gで複数の8K映像を安定して伝送するのは難しく、12チャンネル同時に伝送できるというのは、大きな進化である。

「FUTURE-EXPERIMENT」の第2弾プロジェクト「VOL.02 視点を拡張せよ。」(11月29日公開)でも、5Gの高速大容量通信をアピールした。

これは、東京スカイツリーで行われた、東京2020パラリンピックの開始1000日前イベントに合わせて実施されたもの。別の会場で実施されている、リオ2016パラリンピック金メダリストのベアトリーチェ・マリア・ヴィオ選手と、太田雄貴氏による車いすフェンシングの試合を、さまざまな角度に設置された9台のカメラを用い2K映像で撮影。それら全ての映像を、一部に5Gを用いたネットワークを経由して東京スカイツリーの会場へと送信することにより、離れた場所からでもさまざまな視点で試合を楽しむことができるというものである。

当日は機材トラブルで、あいにく試合中は固定回線のみを用いたネットワークによる中継となってしまったが、試合前後のトークシーンなどでは5Gを活用したネットワークでの中継を確認できた。技術的には2Kより上の解像度での中継も可能であることから、今後はより高い解像度での中継にチャレンジしていきたいと、関係者は話している。

IoTでも5Gだが…

5Gの3つ目の特徴となるのが、一つの基地局に対し、同時に多くの端末を接続できる「多接続」である。これはあらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things、モノのインターネット)の広まりに対応するためのもので、5Gでは1平方キロメートルの中に100万のデバイスを同時接続できることを目標としている。

ただ、多接続に関しては、4Gのネットワークを活用したIoT向けの通信規格「LTE-M」「NB-IoT」の実用化が進み始めたばかりであるため、先の2つと比べると通信業界における優先順位は低く、規格の策定も先送りとなっている。5Gを導入する通信事業者は当面、高速・大容量と低遅延を重視したサービスを提供していくものと考えられる。

5Gの一部の標準化が完了するのは17年末とされているが、携帯電話業界全体で5G導入に向けた機運が急速に高まっている。実際、17年2月には世界の通信事業者や通信機器ベンダーなど22社が早期の仕様策定を促す提案を実施し、3月にはそれを受ける形で、標準化団体の3GPPが5Gの一部の標準化を前倒しすることを発表している。

16年までは、5Gに積極的な国や企業は決して多いとはいえなかったのだが、17年に入ってその流れが大きく変わった。その背景にあるのは、通信トラフィックの急増による、ネットワークへの負荷の高まりではないかと考えられる。

スマホと4Gなど高速なネットワークの拡大によって、コンテンツのリッチ化が進み、モバイル通信でも動画をカジュアルに楽しむ人が増えた。その影響によってモバイル通信のトラフィックは急拡大しており、今後もトラフィックは拡大の一途をたどると予想されている。シスコシステムズによると16年末の全世界におけるモバイルのトラフィックは月間7.2エクサバイト(1エクサバイトは10億ギガバイト)、21年末にはこれが49エクサバイトにまで増えると同社は予測している。

とはいえユーザーの側からしてみれば、現在の4Gの環境でも、動画のストリーミングや大容量のゲームのダウンロードなどに特に不自由は感じていないだろう。MVNOやサブブランドなど低価格の通信サービスの人気が示すように、5Gへの移行よりもむしろ、4Gの通信費を下げてほしいというのが現在のユーザーの本音だろう。

東京五輪が実施される20年の5Gサービス提供開始に向けた提供側の道筋は見えてきただけに、今後は5Gのユーザーへのメリットをアピールすることが、強く求められそうだ。

佐野正弘
 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

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