津田大介、中国スマホ決済に驚き 日本はLINEに期待

日本でもLINE Payや楽天ペイなどがQRコードで決済できるサービスを始めている。だが中国と事情が異なるのは、日本では現金主義が根強いことに加え、SuicaやEdyなどさまざまな決済システムがそれなりに普及してしまっていることだ。

東日本の都市部に住んで電車通勤している人は、Suicaの利用率が高いだろう。そのためSuicaをそのまま決済に使っているという人も多いはずだ。ある程度まで普及してしまったハイテクなプラットフォームがあるがゆえに、QRコード決済に移行するインセンティブが働きづらいという面はあるだろう。

SuicaやEdyなどは店舗側に受け取る端末が必要で、その経済的負担が普及の妨げになっているともいわれる。一方、中国では店頭の入り口やテーブルなどにQRコードが貼ってあるだけ。ローテクだが十分機能しているのだ。

セキュリティの不安もあるが、中国ではモバイル決済の普及が急だ

「周回遅れ」を挽回できるか

中国にはWeChat Payのほか、チャットサービスをベースにするモバイル決済「Alipay(支付宝)」もある。両社とも決済サービスを始める前に億単位のチャットユーザーを獲得していた。そのユーザー基盤があったから爆発的に普及したという見方がある。

その説に従えば、日本国内でブレークする可能性が最も高いのはやはりLINE Payだろう。LINEの月間アクティブユーザー数(MAU)は7000万人を突破し、LINE Payの登録ユーザー数は国内で3000万人いるという。コンビニやドラッグストア、飲食店など、全国1万6000店舗以上で利用できる。

LINE Payは全国1万6000店舗以上で利用できる

LINE Payは2017年12月、国内30万件以上の店舗・企業向けLINEアカウント「LINE@」を販売・運営するLINE Business Partnersと合併して新体制になるという。サービス普及の追い風と逆風は何か、LINE Payに聞いてみた。

「中国やその他の国での急速なキャッシュレス化についてメディアで取り上げられたり、多くの関連サービスが開始されたりしていることで、『フィンテック』が多くの人が関心を持っているトピックとなっていることはLINE Payにとっても追い風になっています」(LINE Payマーケティングチーム 上岡真由さん)

一方で、「さまざまな決済手段が登場していることは逆風でもある」という。そこで今回の合併を機会に「単なる決済手段ではなく、店舗のLINE@の友だち増加にも効果があり、販促から店舗運営まで総合的に活用いただけるサービスであること」を伝えていきたいと考えている。合併後に迎える2018年の展開が気になるところだ。

振り返れば、音楽配信のように、日本には先行する技術やサービスがあったがために、それがかえって普及の足かせになったというケースがある。モバイル決済の分野でも、先頭を切ってレーストラックを走っていたはずが、気が付いてみたら周回遅れになっていたという見方もできる。中国では偽札が横行しており、それが普及の後押しをしたという特殊事情がある。しかし規制緩和も含めたスピード感という意味で、日本は中国やインドなど新興国に追い抜かれつつあるのかもしれない。

津田大介
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。1973年東京都生まれ。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『Twitter社会論』(洋泉社新書)、『未来型サバイバル音楽論』(中公新書ラクレ)ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。

(編集協力 島田恵寿=コンテクスト、写真 渡辺慎一郎)

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