君はパラの世界強豪を見たか 日本で国際試合目白押し競技の面白さ知るチャンス、日本選手の実力底上げにも寄与

ボッチャの国際大会で日本代表とタイ代表の試合が行われた(11月18日、東京都武蔵野市)
ボッチャの国際大会で日本代表とタイ代表の試合が行われた(11月18日、東京都武蔵野市)

2020年8月25日の東京パラリンピック開幕まで、あと1000日を切った。夏季大会では初めて2度目のパラリンピックを迎える東京に向け、国内ではパラスポーツの国際大会が次々と創設されている。世界のトップレベルとの競い合いが日本選手を鍛えるとともに、パラ競技を見る機会の少ない観客の目を養う効果も期待されている。

脳性マヒなど重度の身体障害を持つ選手がプレーするボッチャ初の国際大会「ジャパンパラ」が11月18日から2日間、東京・武蔵野総合体育館で開かれた。来日したのはリオデジャネイロ・パラリンピックのチーム戦で日本と金メダルを争ったタイと、英国という強豪だ。

日本は最後にタイに勝って一矢を報いたが、通算成績は1勝5敗。それでも日本代表でリオ銀メダリストの広瀬隆喜は「自分たちのレベルや課題を確認できた。これを無駄にせず、生かしていきたい」と充実した表情だった。

ジャパンパラは日本パラリンピック委員会(JPC)が主催。JPCはメダルの可能性がある重点強化競技を対象に、車いすラグビーやゴールボールなどの国際大会を開催してきた。ボッチャはリオでメダルを獲得したことで初開催にこぎつけた。日本ボッチャ協会の村上光輝強化指導部長は、国内での国際大会について「海外遠征は費用がかかり、一部の選手しか行けなかった。強豪国を日本に呼んでもらえると強化につながる」。次回は19年1月に開く予定だ。

東京では今、パラスポーツの新しい国際大会が目白押しだ。8月末には車いすバスケットボール男子の「ワールドチャレンジカップ」が行われ、リオ大会9位の日本より格上のオーストラリア、英国、トルコを招いた。19年まで毎年開催する。東京パラと同じ時期に行うことで、夏の暑さなど20年に向け現地視察をしたい強豪国に東京詣でを促す。

バドミントンも9月に「ジャパン国際」を開いた。成績が世界ランクに反映される日本初の国際大会で、海外選手が150人以上参加。国際バドミントン連盟のパラ担当者は「素晴らしく組織された大会で、観客の声援もたくさんあった。18年も開かない手はない」と継続開催の方針だ。

サッカー5人制(ブラインドサッカー)でも国際連盟公認の「ワールドグランプリ」が創設され、18年3月に第1回大会が東京で開かれる。

パラ競技団体が国際大会を開けるのは、東京大会を機にスポンサーがパラスポーツに目を向けたことが大きい。車いすバスケは三菱電機やトヨタ自動車が支援企業として名乗りをあげ、バドミントンではヒューリックが10年間もの長期支援を約束している。

世界の強豪を日本に呼ぶことで、観客の「パラスポーツ・リテラシー」を上げることも狙っている。競技人口が少なく、国内勢同士ではパラリンピック本番ほどのレベルは望めない。JPCは「より高いレベルの競技を見せることで、ファンを作りたい」と説明する。

ボッチャのジャパンパラではコート周りに客席を設け、2日間で計900人が選手の技を間近で観戦した。男性(53)は「障害にあった投げ方を工夫しているとわかった。奥深くて面白い」と感想を語っていた。

各地で開かれる体験イベントなどでパラスポーツを「知る」人は増えた。そこからもう一歩踏み込んで、それぞれの競技の面白さを「楽しむ」段階に進めるか。東京大会の成功は、そんな観客で会場を埋め尽くせるかにもかかっている。

(摂待卓)

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認知度高まったが、生で観戦は1%止まり

2016年リオ・パラリンピックや20年の東京大会に向けたイベントを通じて、障害者スポーツの認知度や関心は徐々に高まっている。

障害者スポーツに関する東京都民アンケートを見ると、15年8月には「関心がない」(49%)が「関心がある」(45%)を上回っていたが、16年秋に逆転し「関心がある」は58%に達した。競技別の認知度では車いすテニスや車いすバスケが7割を超えた。リオ大会を契機に認知度が高まった競技も多く、14年に2%だったボッチャは16年に39%、ゴールボールも9%から26%に跳ね上がった。

テレビやインターネットを通じて観戦したことがある人は70%に達する一方、「スタジアムや体育館、沿道で実際に見た」は1%止まり。都の担当者は「これまでは関心を高めることを重視してきたが、これからは観戦につなげたい。東京大会で会場を埋められるようにしたい」と話している。

[日本経済新聞朝刊2017年11月29日付を再構成]