誰でもできる相続・節税対策の王道 賢い「生前贈与」税理士 内藤 克

(2)自分がどの税率ゾーンに位置しているか把握する

例えば相続人が子供1人で相続財産が2億円の場合、相続税は4860万円となります。この場合の税負担率は4860万円÷2億円=24.3%です。しかし相続税は超過累進税率を採用しているので、この2億円の財産が増減した場合、税額は24.3%の税率で増減するわけではありません(下表参照)。

* 1620万円÷4000万円=40.5%

驚くべきことに財産が4000万円増えると税金は1620万円も増えますので、この超過部分の税負担率は40.5%ということになります。言い換えればこの人は「税率40.5%のゾーンを行ったり来たりしている」のです。

(3)贈与による節税効果を検証する

自分の税率ゾーンが分かったら、相続税の税率よりも低い贈与税率で贈与を行うプランを策定します。先ほどの財産2億円の例よりもう少し身近な額で、相続人は子供2人、財産は7000万円という例を見てみましょう。この場合、相続税額は320万円で、税負担率は4.5%になります。

この家族が、生前贈与を行って毎年110万円を2人の子供に5年間贈与したとします。110万円というのは「毎年、この額までの贈与なら税金がかからない」という暦年贈与の非課税枠です。そうすると相続財産は7000万円―110万円×2人×5年=5900万円まで減らせます。

相続税額も170万円(税負担率は2.8%)まで減り、全体での効果は320万円―170万円=150万円の節税となります。贈与税ゼロで110万円の贈与を5年間繰り返すことにより、相続税負担率は4.5%から2.8%に減少したので「効果があった」ということになります。

110万円にはこだわらない

生前贈与では、必ずしも110万円という贈与税の基礎控除の額にこだわる必要はありません。自分の税率ゾーンによっては110万円を超えた額を贈与し、ある程度の贈与税を負担しても、贈与税額+相続税額が最小値になるように計算して生前贈与を行った方がいいこともあります。ただし、「節税第一」を優先するあまりに子や孫に贈与しすぎて、くれぐれも自分自身の老後資金が不足する羽目に陥りませんように……。

内藤克
税理士法人アーク&パートナーズ 代表・税理士。1962年生まれ、新潟県長岡市出身。97年に銀座で税理士・司法書士・社会保険労務士による共同事務所を開業。2010年に税理士法人アーク&パートナーズを設立。弁護士ら専門家と同族会社の事業承継を中心にコンサルティングを行っている。日本とハワイの税法に精通し、ハワイ税務のコンサルティングも行う。趣味はロックギター演奏。
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