『レギオン』 X-MENから異色のヒーロー誕生10位
2017年10月 海外ドラマ月間レンタルランキング
米国でのアメコミ映像化ブームを受けて、TSUTAYA月間レンタルランキングにもアメコミ発の人気作が次々とランクインしている。そのなかで新作として初登場したのが10位の『レギオン』。映画『X-MEN』から派生した初のテレビシリーズで、斬新な映像表現が高く評価されている。娯楽色が強い従来のアメコミ作品とは違い、アート色の強い異色のヒーローものだ。
映画『X-MEN』シリーズは、マーベルコミックの人気作が原作。超人的な力を持つゆえに迫害されてきた特殊能力者ミュータントたちが、正義のスーパーヒーロー・チーム「X-MEN」を結成して、巨悪に立ち向かう。『ウルヴァリン』シリーズなどのスピンオフ作品を含めて世界中で大ヒットを記録している。
その世界観を共有しながら、新たなキャラクターであるレギオンを主人公に作られたテレビシリーズが本作だ。映画版シリーズの生みの親ともいうべきブライアン・シンガーが製作総指揮を担当して、2017年2月からケーブル局FXで全米放送がスタート。18年のシーズン2放送が決定している人気作となっている。
ストーリーはこうだ。幼いころから幻覚や幻聴に悩まされ、統合失調症と診断されたデヴィッド・ハラーは病院に入退院を繰り返し、治療を受けていた。30代になった彼は、似た症状の女性シドとの出会いをきっかけに、自身が他人の精神を操る最強のテレパスだと知る。実は彼は、X-MENの創始者でもあるテレパス、プロフェッサーXの息子だったが、その事実を知らないまま育ったのだ。やがて、デヴィッドの中でミュータントの「レギオン」が覚醒。その能力を狙って、闇の組織が動き出す…。
全米で本作の評判を高めたのは、「テレビの枠を超えた」とも評された斬新な映像。デヴィッドの脳内のビジョンを、トリップ感覚に富んだ映像で表現。近未来的でポップな色使いや、思わぬダンスシーンといった意表を突く演出で、独自の世界を構築している。娯楽色が強いアメコミヒーローものの中で、アート色が強い作風が特徴だ。
レギオンを演じるダン・スティーヴンスは、映画『美女と野獣』の野獣役やドラマ『ダウントン・アビー』のマシュー役でブレイクした若手の英国俳優。『レギオン』ではアクションから歌、インド映画風のダンスまで披露して、マルチな才能を披露している。
映画ファンを取り込みヒット
TSUTAYA レンタルユニット 映像チーム海外ドラマ担当の中山知美氏によると、40~60代の男性にまんべんなく借りられている。「『ウルヴァリン』シリーズの最新作『ローガン』と同じリリース日という相乗効果もあり、映画ファンを引きつけています」と中山氏は言う。「映画『アベンジャーズ』から派生したテレビシリーズの『エージェント・オブ・シールド』と全く同じ支持層」ということからも、映画ファンへのアピール度が高いことがわかる。
また、「『ローガン』に比べると、50代以上の女性の利用者比率が高いですね。『ダウントン・アビー』で人気キャラクターを演じていたダン・スティーヴンスの主演効果とみられます」。映画『X-MEN』シリーズの知名度と、主演ダン・スティーヴンスのイケメン人気の2つが、『レギオン』のヒットを支えているようだ。
『X-MEN』シリーズから派生するテレビドラマは、今後も続々と製作される予定。『レギオン』に続いて、ブライアン・シンガーが製作総指揮を務める『The Gifted』の全米放送が10月からFOXで始まった。日本でも12月26日からFOXチャンネルで放送が始まる。
ワーナーのDC、ディズニーのマーベルに続いて、FOXもマーベルの『X-MEN』シリーズで、テレビドラマのアメコミ市場に参戦。メジャースタジオのアメコミ注力は加速の一途をたどっている。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
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