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タニタの谷田千里社長

タニタの谷田千里社長

「タニタ食堂」の運営やレシピ本『体脂肪計タニタの社員食堂』(大和書房)シリーズなどで一躍その名を知られるようになったタニタ。体重計や体組成計などの測定器具を製造・販売する、はかりメーカーから健康総合企業へと事業領域を広げてきた立役者が創業家3代目の谷田千里社長だ。人々の心を捉える商品・サービスを生み出す発想法や、人材育成の取り組みについて、谷田社長に聞いた。

「なんでもやってみる」でタニタコーヒーも誕生

――1944年の設立で、もともとはシガレットケースや宝飾品をつくっていたといいますが、今ではタニタ=健康のイメージが定着しています。どのように新しい商売のタネを見つけているのですか。

「とにかく、なんでもやってみることです。例えば、飲料の『タニタコーヒー』もひょんなことから生まれました。2014年から新潟県長岡市の健康まちづくりをお手伝いすることになり、健康づくりの拠点として『タニタカフェ』をオープンすることになったんです。それで、カフェで出すコーヒーも普通じゃつまらないから、タニタらしいものを作ろうというので、ポリフェノールの一種である『クロロゲン酸』を一般的なコーヒーの約2倍含むコーヒーの開発に乗り出しました。かなり難しいチャレンジをした甲斐があって、業務用だけでなく、家でも飲みたいというご要望をいただき、一般向けのドリップバッグが生まれました」

「何が発展するかわからないんだから、タニタの事業領域と全然関係なくても、まずはやってみる、というのが私の基本的なスタンスです。タニタ食堂も、実は当初、社内では大反対されました」

「食堂」進出、社内の雰囲気変えたくて

――反対の理由は何ですか。

「メーカーなのに、飲食業に手を広げるなんて何を考えているんだと。ただ私自身、料理に興味があって調理師免許も持っていましたし、10年に『体脂肪計タニタの社員食堂』のレシピ本が思いがけずヒットして、お客様から「どこに行けば食べられるのか」といった問い合わせが殺到していたんです。本社が東京・板橋区の住宅街の中にあるので、地域の方が『テレビで見たんだけど、食券はどこで買えるのかしら』なんて言いながら訪ねて来られたりして。だったら、皆さんが食べられる食堂を作りましょうと」

「私は08年、35歳で社長を引き継ぎました。その頃、考えたんです。65歳くらいまで社長をやるとして、あと30年くらいはあるんだから、失敗するなら早めがいいだろうと。メーカーなのに飲食業もやるといえば、社員も驚くし社内の雰囲気もガラッと変わると決断しました。もともと『一粒で2、3度おいしい』というのを自分の人生訓、座右の銘としているので、それを実践する上でもチャンスだと思ったんです」

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