マネー研究所

使わなきゃ損! 個人型DC iDeCo

iDeCoの「知られざる細部」 新規加入者の声から iDeCoで投資デビュー(13) オフィス・リベルタス 大江加代

2017/11/29

 この1年は個人型の確定拠出年金(DC)であるiDeCoの加入者が倍増し、「名前は知っていたけど、初めてDCの加入者になった」という方も多数いらっしゃいます。今回はそういう方々の声を集め、「加入して気付いたけど、iDeCoってこういう仕組みだったのか」というiDeCoの「知られざる細部」についてお伝えしたいと思います。

■手数料は外側でなく内側から徴収

 まず手数料の徴収についてです。iDeCoでは「加入時手数料」、積み立てている間(60歳以降などの場合は、運用のみしている間)の「口座管理料」、そして受取時に「給付手数料」と3種類の手数料がかかります。そしてあまり知られていませんが、これらは手数料として別途徴収されるのではなく、積み立てている間は積立額から、積み立てていないときには残高の一部を売却して徴収されます。具体的には加入時手数料と初回月分の口座管理料は、最初の月の積立額から差し引かれます。

ある加入者の例。この人の積立額は毎月1万2000円で、2本の投信を80%:20%の割合で買っているが、初月は加入時手数料などが引かれ計9120円しか運用に回っていない

 例えば積立額が月1万5000円であれば、初回はそこから3000~4000円程度が差し引かれ、預金や投資信託といった金融商品の購入に回るのは残った1万円と少し、ということになります。加入したばかりですから、気になって初回の買い付け終了後に残高を見る人も多いのですが、「あまりに目減りしているのでビックリした」という声をよく聞きます。iDeCoで生まれて初めて投信を購入した方などは、購入した投信がいきなり大きく値下がりして大幅な元本割れになったと勘違いされるケースもあるようです。特に初回は加入時手数料がかかり差し引かれる金額が大きいのですが、いきなり資産が何千円も減ったわけではありません。そういう仕組みになっていると知った上で残高を確認していただければ、安心できるでしょう。

 また、金融商品を購入する際に「配分は金額でなく割合で指定する」という点もあまりなじみがないので、実際に買い付けが完了してみて、ようやく腑(ふ)に落ちるという方が多いようです。要するに毎月の積立額の中でA投信を70%、B投信を30%などと指定し、その金額でそれぞれの投信を買っていく、という仕組みなのですが、金額がパーセンテージできれいに割り切れず端数が出たりすると「え、一体どうなるのだろう?」と混乱してしまいます。初心者の方は特にそうかもしれません。実はこの1円、2円の端数の取り扱いは、「指定している商品の中で一番リスクの低いものに割り振る」などと金融機関ごとにルールが決まっています。

 こういった「ちょっとしたことだけれど、気になること」が出てきたときは、おっくうがらずにコールセンターに問い合わせてみましょう。電話をかけてみた方々からは「オペレーターのわかりやすい説明でスッキリした」という声が非常に多く、iDeCo加入者にとってコールセンターは強い味方といえます。

■売却時に価格指定はできない

 購入の次は売却です。投信の売却については第5回「『のんびりした商品』 iDeCoで初めて知る投信の性格」でも書きましたが、株式のように「いくらになったら売る」といった売却価格の指定はできません。売却する量となる「口数」だけを指定するのです。投信の評価額は、時価(基準価格)と量(口数)を掛け合わせたものですから、保有残高の一部を「これくらいの金額だけ売りたい」と考えたときには、売却する口数を自分で計算しておおよその金額を算出する必要があります。ただし、実際に売却が実行される日のマーケットがどうなるかはわからないので、売却注文の時点で細かく計算してもあまり意味がなく、ざっくりした概算で十分だと思います。

 むしろ重要なのはタイミングです。売却とはある価格で売ることによって損益を確定させるということですので、「このタイミングでいいか」「この口数でいいか」で迷い、売った後で「ああすればよかった……」という後悔が生じることもあります。正直、私自身も売却後にその投信の基準価格がもっと上がって、後悔したことは何度もあります。でもそれこそが「投資の経験」であり、次に生かせることなのです。

 ですから、iDeCoで初めて投信を保有された方は、売却についても、まずは少額で体験してみることをお勧めします。リーマン・ショックからいつの間にか9年もたち、最近のようにマーケットが上昇してくると、60歳になって資産を受け取るタイミングが近づいてきた方々の中には「少し利益を確定しておきたい」と思う方も多いでしょう。そんな方は特に、少額売却で経験値を上げてください。

■兼業規制で店頭での商品説明はNG!?

 最後に店頭でのサービスについてです。店頭での説明・サポートを望む声は非常に多いのですが、DCの運営管理業務について「営業職員が加入者に商品情報の提供をしてはならない」という兼業規制がいまだ撤廃されていません。こういったこともあり、いまだに多くの金融機関、多くの店舗で商品の説明が受けられない状況が続いています。iDeCoの制度や手続きについて説明してくれる店舗でも、商品のこととなるといきなり「ここからコールセンターにつなぎますのでオペレーターに聞いてください」と言われてびっくりした、という声をあちこちで聞きます。それでも、2016年ぐらいから対応する金融機関・店舗も広がってきているようですから、今はお近くの金融機関の店舗でも説明対応をしてくれるようになっているかもしれません。一度確認してみてください。

 18年からは積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」も始まりますから、より顧客目線でシームレスなサービスが提供されるよう、兼業規制の撤廃については金融庁と厚生労働省の間での調整を急いでいただきたいと思います。

大江加代
 大手証券会社で22年間勤務し、一貫して勤労者の資産形成に携わる。確定拠出年金については法の成立前から10年以上企業型の現場で関わり、のべ25万人に対する投資教育の企画・運営にも携わった。現在はオフィス・リベルタス取締役で、NPO確定拠出年金教育協会理事として情報サイト「iDeCoナビ」も創設。http://www.dcnenkin.jp/

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL